開明獣

戦場のメリークリスマスの開明獣のレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
5.0
哀悼。

あれはいつのことだったろう・・・。倫敦某所の日本食レストランにその男はいた。メディアなどで見かけたのと同じ佇まいだった。静かに1人で食事をして席を立っていった。

黄色魔術楽団の1人として世界を席巻し、そしてかの天才パフォーマー、デイビッド・ボウイや映像で名を馳せた世界のキタノと共に本作にて役者として銀幕に降り立つ。本作でのリリカルで耳に残る旋律は今も多くの人の心を捉えて離さない。メガホンを取った大島渚もボウイも既に天空の星となった。

黄色魔術楽団は、細野晴臣だけとなり、戦場のメリー・クリスマスも、キタノだけが残った。

教授と呼ばれた男、坂本龍一、享年71歳。なんと惜しい男を私たちは失ったことか。だが、跡に続くものを願って、今はその安らかな眠りを祈るばかり。

イヤホンから流れるピアノの音に思わず涙が頬を伝う。散り行く桜が雪のようだ。

Merry Christmas, Mr. Lawrence!
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