anzu

ディア・ハンターのanzuのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
3.8
躊躇いのないロシアンルーレットが頭から離れない。

戦争に行く前の青春時代から行った後の変わり果てた姿まで、183分で全てを描く。ここまで戦争によって残された傷を美化せずにとらえた作品に出会ったことがなかった。

戦前の結婚式、友情、恋愛、幸せに満ち溢れたシーンが始まるからか、帰還しても戻ることのない精神、虚無感や痛みが重くのしかかる。故郷の情景は変わらないのに、あの幸せはもう二度とないのだと。

特にクリストファー・ウォーケンのロシアン・ルーレットの場面は圧巻で、人の命をあまりにも軽く扱う戦争に対して、何度も何度も訴えかけてくるようだった。

母は割とすぐに観た映画を忘れてしまうのですが、今作は若い時に観てから数十年ずっと鮮明に憶えていて、衝撃を残す作品なんだなと実感した。
anzu

anzu