anzu

ザ・スクエア 思いやりの聖域のanzuのレビュー・感想・評価

3.8
『逆転のトライアングル』を鑑賞後、じわじわと考えさせられる感じが妙に好きで監督の過去作品を。

リューベン・オストルンドの作品はブラックユーモアのセンスが抜群で、カタルシスを感じる。

現代美術館のキュレーターを務める主人公は一見、知性も地位もある理想的な人物に見える。しかし、財布を盗まれてから想像した人物像からかけ離れていると思い知る。

監督が影響を受けているハネケ作品と共通しているのは、他人事として観ている観客をグッと巻き込むところだろう。ただの映画と思って俯瞰して観ていると痛い目に見る。
人々の嫌な部分がシュールに描かれているのだが、何処か自分ごとのように思える部分もあって目を背けたくなる。でも、皮肉っぽさが面白くて見入ってしまうのだ…

また冒頭の「もし何らかの物体を美術館に置いたなら、その物体はアートになるか?」という現代美術に対する問いに、共感して笑ってしまった。

(恥ずかしながら、古典美術は好きなのですが現代美術に惹かれることが少なく…)現代美術館に置かれている展示物を見て、「これが高校の文化祭に並んでいたら芸術と認識できる?」と場所によって付加価値がついているのだけではないかと、よく自身に問いかけていたので…笑

誰かと語りたくなる作品を撮る監督です。
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