Gan

ディア・ハンターのGanのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.8
結婚式に始まり、葬式に終わる。

ロシアンルーレットよろしく、6人(6発)の友人のうち、1人が死ぬ額縁構造。
物語の緩急の鋭さは、銃弾によって一瞬で生から死へ転落するかの如く。
「冠婚葬祭」という不可避で決定的な要素と、「ロシアンルーレット」という不確定で運に満ちた要素の対比構造もまた然り。
鹿の目と、ニックの目、両方の死の瞬間を見た。
前半と後半が対応する、綺麗な首尾照応型。
戦争へ行った三者三様が、取り返しのつかない喪失を伴う。最後がアメリカ賛歌で終わるところもまた、皮肉に満ちていて良い。

脚本と演出の凄味は、自分の中でトップレベルかもしれない。この作品にとって3時間という長尺は、物語にとって不可欠。
タイトルを「ディア・ハンター」としたところにも唸る。deer / dear。
「地獄の黙示録」と本作、そして「タクシードライバー」「ランボー」が、個人的なベトナム戦争映画タイ1位。優劣などつけれる筈がない。
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