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放浪の画家 ピロスマニのGanのレビュー・感想・評価

放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)
4.0
孤高の画家、ピロスマニの半生を描く。

どこか斜に構え、世を拗ねたように生きる彼に対し、この映画をわざわざ選んで観る視聴者は、少なからずフィルムの中に自分を見出すと思う。
お話としては特段面白くはないが、童話を観ているような不思議な画作り、"絵画" がテーマの額縁構造、途中で挟まれる彼の一枚絵 (北野武のHANA-BIを連想せしめる) など、監督の工夫は随所に見受けられる。
寂寞たるグルジアと熱を帯びる画家、それらが醸す独特の雰囲気は、いずれ見返すに足る。

DVDを購入した際に付属するリーフレットが良かった。というかもうこれさえ読めば映画は殆ど観了したと言っていい。
あの岡本太郎をして「芸術家はかくあるべき」と言わしめる。
ピロスマニを演じた人物は俳優ではなく、裏方の美術担当であったらしい。生霊が取り憑いたような演技だった。

黒のハットに黒のスーツ、黒のネクタイを締め陰を纏う彼は、今日もグルジアの隘路に、革鞄ひとつ携えて征く。
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