NAOKI

魔女の宅急便のNAOKIのネタバレレビュー・内容・結末

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

もう魔法は戻らない…
なんて悲しく切ない物語…

もう…恐らくは誰も文句のない名作なのは分かります。
褒めたくなる要素ばかり山ほどあります。

子供の頃…パンダコパンダとコナンで宮崎駿の洗礼を受けて以来…リアルタイムで彼の作品を追ってきたおれにとってこの「魔女の宅急便」はおれを混乱させ衝撃を与えたのでした。

この名作を前にこいつは何を言ってるんだ?…と思われるかも知れませんが…おれには意味がわからなかったんです…

宮崎駿の劇場用長編アニメと言えば…古い順に…
「カリオストロの城」
「風の谷のナウシカ」
「天空の城ラピュタ」
「となりのトトロ」

ここまで…文句なし!全て完璧なマスターピース…ある意味…宮崎駿はここまでで完成している…とさえおれは思ってました。もうこれ以上の傑作が作れるはずがない…
それぐらいのクオリティの傑作が続いたのです。

この「魔女の宅急便」…とにかく絵や音楽の完成度は素晴らしいです。
キキという名の新米魔女と相棒の黒猫ジジ…
二人が住むことにするあの町!そこのパン屋夫妻…
そして始める宅急便のお仕事…淡い恋…

なーんて素晴らしいんだとワクワク観てると…

突然…なぜかキキの魔法力が弱くなる!
もちろん色々理由は考えつく…
恋をしたから?一種の処女性の喪失が魔力の低下に?

飛べなくなったり大切な箒が折れちゃうことより…何よりおれがショックを受けたのはジジの言葉が聞こえなくなったことでした!
「にゃあ」って💦
同じく黒猫を飼ってたおれにはこれがショックでした…

そしてここから物語は一気に陰鬱となりクライマックスの飛行船の事故…
魔力が弱くなったキキの必死の救助…デッキブラシ…

このクライマックスを見ながらおれが考えていたのはただひとつ…
映画のラストに魔法は甦るんだ…そして…ジジの言葉が帰ってくる…
あの懐かしい生意気な言い方で…「キキ…やったじゃん」
おれはここで号泣する予定でした。

最後に見事にトンボを救って大歓声の中…やっぱりジジが現れます。
きたきた~

「にゃあ」

このときのおれのショック…分かりますか?
なぜジジは喋らない?
魔法は戻らなかったのだ…永遠に失われた…
そんな弱い魔法の力でもキキは奇跡を起こしたのだ!
素晴らしい!?

映画のエンドロール…いつもの宮崎アニメのようにキキたちの「その後」が語られます。 パン屋には赤ん坊が生まれ…ジジも隣の白猫と結ばれキキも楽しく暮らしていく…一見素晴らしいハッピーエンドなのですがとうとう最後までジジはしゃべりませんでした…

おれは確かに宮崎駿のメッセージを受けとりました。

泥棒が少女の心を盗み…巨大な虫が心を開き…空飛ぶ城は破滅の言葉でも破滅することなくどこまでも飛んでいく…そんな幸せな魔法の時代は終わったのだよ…お前は永遠に魔法が失われたこの世界でこれからも生きていかなければならない…

なんて切なく悲しい宮崎アニメの方向転換だったことか…それはその後の作品群を見れば明らかです。

蛇足ですが…宮崎アニメのタイトルが全て「の」で繋がれる意味はあるの?
誰か知ってますか?

カリオストロの…風の谷の…天空の…となりの…魔女の…紅の…ものの…千と千尋の…ハウルの…崖の上の…

そしてついに「の」の呪縛から解き放たれた「風立ちぬ」…

宮崎駿の謎多き…😁💦
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