KnightsofOdessa

サン★ロレンツォの夜のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

サン★ロレンツォの夜(1982年製作の映画)
3.5
[麦畑の喜劇的泥仕合] 70点

聖ロレンツォの日の夜に、愛する人のために流れ星に願い事すると叶うんやで!と言いつつ子供時代の昔話を始めたと思ったら視点人物がぐちゃぐちゃに入り乱れていくのが不思議。戦争を深く理解していない子供だからこそ出るある種の呑気さが画面を支配していて、子供目線で当時の状況を(言葉は悪いが)過小評価しているのかと思いきや、身一つしか残されない大人同士の衝突という意味での性的示唆にも富んでいるし、群像劇かと思ったらそうでもないし、取り敢えず戦争映画らしく理不尽に人物が消え去っていくのだけは現実そのまま、或いはそれ以上であることだけ辛うじて分かる。終盤の麦畑の殺し合いなんて敵も味方も分からない泥仕合そのもので、本人たちは真剣なのにある種の喜劇性が備わった奇跡的な場面だった。

森の中で"だるまさんが転んだ"みたいな感じで静止して爆撃機をやりすごすとこ、初期ドヴジェンコ(特に『ズヴェニゴーラ』『武器庫』)で同様のシーンをよく見た気がする。てか、ちゃんと観てなかったからかもしれんけど、これって流れ星云々って関係あんの?
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