サン★ロレンツォの夜の作品情報・感想・評価

「サン★ロレンツォの夜」に投稿された感想・評価

[麦畑の喜劇的泥仕合] 70点

聖ロレンツォの日の夜に、愛する人のために流れ星に願い事すると叶うんやで!と言いつつ子供時代の昔話を始めたと思ったら視点人物がぐちゃぐちゃに入り乱れていくのが不思議。戦争を深く理解していない子供だからこそ出るある種の呑気さが画面を支配していて、子供目線で当時の状況を(言葉は悪いが)過小評価しているのかと思いきや、身一つしか残されない大人同士の衝突という意味での性的示唆にも富んでいるし、群像劇かと思ったらそうでもないし、取り敢えず戦争映画らしく理不尽に人物が消え去っていくのだけは現実そのまま、或いはそれ以上であることだけ辛うじて分かる。終盤の麦畑の殺し合いなんて敵も味方も分からない泥仕合そのもので、本人たちは真剣なのにある種の喜劇性が備わった奇跡的な場面だった。

森の中で"だるまさんが転んだ"みたいな感じで静止して爆撃機をやりすごすとこ、初期ドヴジェンコ(特に『ズヴェニゴーラ』『武器庫』)で同様のシーンをよく見た気がする。てか、ちゃんと観てなかったからかもしれんけど、これって流れ星云々って関係あんの?
第二次大戦末期ドイツ領イタリアトスカーナ地方。ナチスやファシストの脅威に晒された過酷な少女時代の断片的記憶が、母から子への回想式寓話といった構成でユーモアを映し語られる。

全編通して絵画のようなショットが印象的だったが、特に麦畑銃撃戦のシークエンスと天気雨の描写が美しい。タヴィアーニ兄弟が自伝的に手掛けた戦争ドラマの傑作です。
空海花

空海花の感想・評価

3.8
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟を初鑑賞。

兄弟自らが体験した「サン・ミニアート村の虐殺事件」を題材にした、彼らの代表作。
聖ロレンツォの日の夜は
愛する人のために流れ星に願いをかけると叶うという言い伝えがある。
その夜に、母親が愛する我が子に聞かせる昔話として始まる寓話的手法。
語り部は母の当時の姿、6歳の少女である。

1944年終戦間際、北イタリア、トスカーナ地方。
ドイツ軍と元ファシスト(黒シャツ隊)
連合軍とレジスタンスが権力奪取を繰り返していた、もっとも複雑で混沌としていた時期である。
サンマルティノの村の住人はそれでもどことなく陽気で、もっと言えば呑気な空気感さえある。
だが、ドイツ軍がパルチザンの活動に対する報復のため爆撃を予告。
村人たちは身を守るために教会に集まる。
しかし、ここで近くにいる筈のアメリカ軍に助けを求めようというグループと
教会に残るグループとで村人は二分することに。
言い出した老人ガルヴァーノと共に
少女チェチリアと村人は命を賭けた脱出の旅に出る。

新婚夫婦やパルチザン、反ファシスト
その家族、親子、友人など登場人物は細やかに描かれる。
新しい名前を考えさせるのは秀逸。
覚えやすいし面白い。
ふくろう🦉もじゃもじゃ🌀

チェチリアの目を通した風景は、
時にお伽話の様相を呈す。
より目👀
聖体のパン
黒い衣服、鍵、卵
天気雨🦊
争いの悲惨さは、昔々~のローマ時代の戦争に置き換えられ
アメリカ人とはにらめっこをする。
ファンタジーと現実と隠喩の応酬。
これはそこかしこに散りばめられ
ラストシーンを経て、観終わってからどんどん繋がり、うわぁとなった。
これらが巧い対比となり、強烈なインパクト。
ロング・ショットと紙芝居のような映像美もすごい。
主観も単純に少女目線だけではなく
頻繁に登場人物を行き来する。
少し注意して観た方が良いかもしれない。


タヴィアーニ兄弟は実際の事件の後
家族が財産を失い、ピサに引っ越し
そこで映画に出会う。
チェチリアも家がなくなったらフィレンツェに引っ越せばいいと無邪気に言う。
だが、いざ爆撃の音を聞くと
懐かしい思い出が溢れて悲しみを覚える。
チェチリアはタヴィアーニ兄弟の投影であり
ガルヴァーノは反ファシストの弁護士であった彼らの父がモデルのようだ。
心の声は彼女たちだけではない。
耳の記憶は言葉にはならず
永遠に残るものだ。

寓話の真骨頂は、おまじないのわらべ歌。
母となった彼女もその歌を歌うが
その理由に思いを馳せて、胸が締め付けられたし、愕然とした。


2020自宅鑑賞No.50/total159


前から気になっていてClipしていましたが
フォロワーさんのおかげで見逃さずにすみました💦
ありがとうございます😘

うわぁ~😱がすごかったです(笑)
ああコレもかつて三鷹オスカーで観たなぁよくわからんかったなぁ映画といえばあの頃フェリーニベルイマントリュフォーゴダールタヴィアーニ辺りだったなぁ…としばし追憶。愛ってやつの正体は思い出だったとおっさんになってようやく解った今、冒頭婚礼シーンですでにじわ〜っときてしまう。ああタヴィアーニ映画って最強の追憶映画だったよなぁつまり愛の映画だったのかぁ…としみじみ解り、ラストシーンではもうグワっときて、ついでに『カオス・シチリア物語』のラストシーンまで思い出してブワッと泣きそうになった。あの頃のヨーロッパ映画のような豊饒は、本作で爆破された村のようになくなってしまい、美しい思い出に浸るように本作なんかを観ている。
chiyo

chiyoの感想・評価

3.5
2020/12/26
第二次世界大戦末期のイタリア、トスカーナ地方。ナチスやファシストの脅威に晒され、辛い描写も多々あるのだけれど、何故か残るのは長閑な風景と緩い空気感。そして、どんな状況であっても恋をすることを忘れない人たち。特に印象的だったのは、西瓜で身体の熱を取るシーンと、老婦人の可愛らしい水浴び。前者は艶めかしく、後者は活き活きとし、どちらも生きていることへの歓びが感じられた。その反面、新婚の妊婦が辿った末路、ファシスト親子の最期は、あまりに痛々しい。また、小麦畑での銃撃戦も印象的で、これまで共に過ごした人が呆気なく命を落とす様に唖然とする。それを見つめる6歳のチェチリアが、現実逃避で中世を想像するのも致し方ない。ただ、それでも残るのは、やっぱり長閑な風景と緩い空気感。
ビックカメラ......。

これからはジョバンニといえば、この映画です。

排尿シーンだ〜とワクワクしたら同じようにワクワクしている少年たちが映されたのでションボリしてしまった。
スイカでの体拭き、からのガブリ。
めちゃくちゃうれしそうに水浴びをするコンチェッタおばさん、とても良い。

耳へのズーム。鍵を落とすショットが良い。良いと言ったら悪いくらいにもの悲しいわけなんだが。
卵を叩き割る少女の顔。
コンドーム風船。
良いキス。

教会へ行く組とアメリカ軍を探しに行く組が階段と床に分かれているショットの絵画感がすごい。画面に映った瞬間に身体が震えた。

麦畑のシークエンスで評価が爆上がりした。唐突なやり投げ。
mare

mareの感想・評価

3.5
タヴィアーニ兄弟の自伝的作品で少女の回想的視点から描かれるトスカーナ地方での悲劇。ドイツ軍による村の爆撃から逃れるため村から脱出、過酷なロードムービーのようにも見えるが村人たちのユーモアあふれる描写も印象的だ。子どもが容赦なく撃たれ、走馬灯のようにファンタジックな場面になるシーンは淡々としていて残酷さを一層際立たせている。小麦畑での銃撃戦、かつての同胞とも立場の違いから殺し合い、同情の余地すらどこにもなく倒れていく大人子ども。最悪すぎる戦争の本質と煌びやかな自然と時折はしゃぐ大人たちとのギャップが激しく世界観の唐突な切り替えが凄い。
やはり動物と子供の捉え方が抜群
ラストのお天気雨が凄まじかった記憶
山

山の感想・評価

3.7
記憶の追体験という枠組みの補填部分が説明的すぎる。妊婦の顛末を回想したり悲惨さを正常に描いたりするのは戦場下であって朗らかなピクニックでもある独特な空気感を台無しにしている。
snatch

snatchの感想・評価

4.0
イタリアの1929年、31年生まれのタヴィアーニ兄弟の名作です。弟さんは89歳でご健在です🙌🇮🇹
これは、第二次世界大戦時、幼かった兄弟が体験したトスカーナ地方の故郷の村で起こった事件が下敷きになっています。
村はドイツ軍とムッソリーニのファシスト党員に侵攻され、村人は教会に居残る者と、レジスタンスを頼り解放の望みを懸け連合軍を探す者たちとに別れ流浪が始まります。
本当に、故郷を家を突然失うという、楽しく笑って生きてきた普通の人々が、一時的にせよ、難民になるような絶望感がわかります。ここでも、同じ国の人なのに、同じ村の人なのに…と辛過ぎる事態に目を覆いたくなりました。そして、父にくっついていた少年の見せ方が情け容赦ない…
しかし、語り手の少女によるのんびり目線も入り、戦時下のここにある家族愛、恋心、そばにいてくれる隣人、子供への愛情がたっぷり描かれていて、絶望下でも人には失わないものはあったのだという切なる思いも伝わってきました。
終盤の女の子が見るあのシーンへの飛躍は…残酷な現実を目撃した子どもの記憶の置き換えなのかな…
あと、思いがけずの二人のラブシーンの映像が戦争を忘れさせてくれてよかった…🕯
若い頃の私には良さがわかりにくかった良作の一本🎥
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