イホウジン

ペパーミント・キャンディーのイホウジンのレビュー・感想・評価

4.4
もはや後にも先にも比較し得る作品は生まれないのでは?とも思える奇作であり傑作。

映画全体がまるで逆再生のように構成されている点や起承転結が不明瞭(1999年と1979年のどちらを物語の起点とするかで意味合いが変わってくる)な点など、今までにない新しさを感じることができた。演出は監督の他作よりも力が入ってない気もするが、映画の構成や主人公の心理描写はひたすら見事としか言い様がない。
ただ主人公の人生を時系列で遡っていくだけの映画なのに、あの観終えた後の余韻は一体なんなんだろう。観ている最中は主人公が若ければ若いほど純粋な心を持っていることに気付き切なくなる(特にラスト)し、観終えた後もどこが人生のターニングポイントだったのか思考を巡らすという楽しさがある。光州事件や1987年の政変や金融危機など、ここ最近の韓国映画ともリンクする内容が多く、社会派映画としても見応えがあった。

90年代の出来事が断片的すぎて、もう少し映画内の出来事同士を繋ぐ情報が欲しかった。
イホウジン

イホウジン