ぽんぽこ

麦秋のぽんぽこのレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
4.5
今は核家族の家がほとんどだろうけれど、1950年代は普通に大家族で暮らしていたのですね。

メンツが『東京物語』のほぼ同じで、夫婦だったのが、親子になっていたり、隣のおばさんになっていたり、名前も同じだったりして、そこら辺はザックリしてるんやなと思いながら観ました。


間宮家の紀子は28歳で、親友のアヤから同級生が結婚すると聞かされます。
独身組と既婚者組が一緒にお茶してるんだけど、あからさま既婚者組がマウンティングしていて、今の時代より、エグいと思いました。
紀子の上司から商社勤務の四国は旧家出身の友人の縁談の話しがあるのだけど、紀子は、まんざらでもないけど、なんだか気乗りしてないよう。
家族でも、良い話しだし康一は一番乗り気っぽい。
母と史子は年齢差を気にしている様です。


暮らしの中で、挨拶をしている場面が多いのが良いなあと思いました。
普段の何気ない暮らしの中で、子供がパンを蹴って、康一に叱られる。
いじけて、夜中まで帰って来ない。
あれは、アカンで。食べ物とか、本を足で扱うのは。
縁談話しがどんどん進む中、紀子が奮発してケーキを買ってきて史子と食べるシーン、何気ない日常の中でささやかな幸せという感じが良かったです。
隣の矢部は間宮家の次男の高校の友人で妻を一昨年前に幼い子を残して亡くなっていて、母親が再婚話を探しているのです。
矢部は秋田の病院へ転任するので紀子が挨拶に来た際に、母親から本当の事を言うと、あなたのような人にお嫁さんに来て欲しかったと言われ、紀子は承諾するのです。
矢部の母は大喜びだけど、又家族会議です。
幼い子供がいるのがやはり気になります。
母も史子もかわいい紀子が自らそんな所へ嫁に行かなくても、それだったら縁談の話しの方が良かったかなぁと悩んでいます。
だけど、紀子の意志は強くて子供、好きだし、自信あると、矢部を信頼して安心できる存在だからと言われたら、それが紀子が幸せと思うのならば、もう決まりです。

賑やかで仲睦まじく暮らしていた大家族。
変わらないものなんてありません。
最後、記念写真を撮りました。
紀子は思わず1人になり、突っ伏せて泣いてしまいます。
私もウルっときました。

ラスト、周吉と志げは、大和の兄の所へ。
麦畑で、麦の穂が風でそよそよ揺れています。
麦のように強くなるって事かな。
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