Kevin

リトル・チルドレンのKevinのレビュー・感想・評価

リトル・チルドレン(2006年製作の映画)
3.7
現実と理想との間でもがき苦しむ〝大人になれない大人たち〟を描いたちょっぴりアダルティーなヒューマンドラマ。

“人間は決して満足しない生き物だ”なんて言葉をよく耳にしますが、本作に出てくる人物たちもまた同じで。
掲げていた目標を達成するとまた新たな目標、欲求が生まれ、繰り返す。
捉え方によっては素晴らしいことにも成り得ますが何でもかんでもそれを物事に適用すると良くないものへと化け兼ねない。
欲求が満たされた時の期待値が下回れば尚更。

本作はそれを〝不倫〟という形でわかりやすく見せてくれます。
サラには夫も居て娘もいる。でも思っていたのと何か違う。何か物足りない。
そうだ、不倫しよう。
そうなっちゃダメなんですよね。
しかしこのように心が満たされない状態の時では自分でも思いもよらぬことをしてしまい易い。

他の人物たちも同様に色々な問題を抱えています。

ブラッドは現在無職で優秀な妻との間に劣等感を感じている。

ロニーは幼い少女しか愛せないという心の病を患っている。

ラリーは元警官だがある事件を起こしてしまい退職し、そのやりきれない気持ちを紛らわす為に児童保護会を立ち上げる。そしてその矛先はロニーへと向けられる。完璧に憂さ晴らし。

と、他人との間の問題や自分自身の問題と皆戦っているわけです。
そのどれもが形は違えど、自分にも共感出来るものばかりで。
なので非常にリアルなものに感じられました。

そして題名でもある〝リトル・チルドレン〟について。
サラはやっちゃだめだと知りながらもやってしまう=心が子供
ブラッドは大人になっても仕事をしていない=子供のまま
ロニーの場合は恋愛対象がリトル・チルドレンパターン。
ラリーは雑に言えば八つ当たりをしてる訳で当然幼稚。
てな感じで自分に言い聞かせながらの解釈。

映画としての面白さの定義を考えると「この作品は面白かったのか?」と若干解らなくなりますが、そういった意味でも優れた面白い1本であったと思えます。

本作の中でも特にいい演出だと思ったシーンは、「洗濯機の動き」〜「セックス」への繋ぎですね間違いなく。上手い。洗濯機、お前激しいもんなあ。
もちろんケイトの体当たりな演技も必見です。
Kevin

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