Kevin

ゲット・アウトのKevinのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.6
ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)には白人の恋人ローズ(アリソン・ウィリアムズ)がいる。
仲睦まじく暮らしている彼らは、ある週末にローズの実家に招待される。
彼氏が黒人だということを伝えていないことにクリスは不安を覚えるが、行ってみると彼女の家族は大歓迎。
その実家はかなり広い敷地で、ローズの家族以外に黒人の使用人も数人いる。
ところがクリスは〝何かがおかしい〟と感じずにはいられなかった...。

期待に違わぬ面白さ!
予告で本作に惚れた日から待ち遠しかった!
ジョーダン・ピール!コメディアンだというのにやってくれる!

構成、映像、見せ方、音・音楽の使い方...とても初監督作品とは思えない完成度。

ホラー映画に風刺を織り交ぜながらも重くせず、あくまでホラーを作る上での素材として見事に活かしている。
そしてコメディアンの武器であるユーモアも効かせつつ。
黒人コメディアン、ジョーダン・ピールだからこそ生み出せた作品。

いわゆる〝何かがおかしい〟ってな作品なんだけど、この手の作品は雰囲気だけでもご飯3杯はいけちゃう。
その中でも本作は一際輝いてたかなあ。
めちゃくちゃ癖になる気味の悪さ。

劇中この〝何かがおかしい〟雰囲気が終始ビンビン張り詰めてるんですよ。
それを作り出す役者陣の演技が半端なく上手い。
このことは何よりも言いたい。
皆が皆、本当に上手すぎる。
これら演技の質がなければ面白さ半減していたと思う。

特にメイドの女性さんは白眉。
とあるシーンの狂気じみた演技がインパクトありすぎ。笑

〝何かがおかしい〟ならその源を探してしまうのが人間の性。
案外、そのおかしさの答えに“近づく”のは誰でも到達できる。観ていれば自然と導かれる。

が、

それは分かった気にさせられていただけだった。
部分的には正解であるものの、それはおかしさの入口でしかなく、そこからの全貌は想像の斜め上をいくものだったのだ。

確かに自分の出した答えなんかじゃ味気ない。
「そうか!あのシーンはこの伏線だったのか!言われてみれば皆...」や「あのシーンはそれをしてたというわけか!」
と、そこから更に面白さを極める。
そして不気味さも、より触り心地の悪いものへと変貌する。
...「その発想はなかった」これに尽きる。

実際〝それ〟が可能なのかは置いといて、映画のネタとしては十分すぎるほど旨味を含んでいた。
あまり書くとネタバレに成りかねないのでこれ以上書かないが、点と点が繋がった時の感覚を味わってほしい。

クライマックスからラストにかけても本作の面白さは留まることを知らず、往来のホラー映画を彷彿とさせる展開に痺れた。

観て損はない、いや、得しかない極上B級ホラー。

ネタバレは書いていないので、是非何も触れない状態で鑑賞に臨んでください!
Kevin

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