このレビューはネタバレを含みます
黒澤明の赤ひげが照らす瞳の鏡
2011年6月10日 19時21分
1965年、ヴェネチア映画祭男優賞受賞、三船敏郎。黒澤プロダクション、東宝提供。原作山本周五郎。脚本菊島隆三(他二名)、脚本監督黒澤明。
一回挫折済み、黒澤明作品で「生きる」「白痴」同様長いシリーズ185分の三時間弱。
三船のひげ、医者物語、いかにも見習い的な加山雄三。
黒澤明のヒューマン物は、今まで全て大感動で撃沈。時代劇よりも個人的に好きでして、DVD購入。「七人の侍」より「隠し砦」より断然「どですかでん」派です。
黒澤明の人間論で志村喬の役所論で生死論。ブランコの上の志村喬をあなたにはどう映る?
あなたは、今から どう 生きるん?を表現「生きる」
汚くも貧しい集合木造住宅らへん。ひとつ屋根の下、狭き場所での人間ども、あーでもないこーでもない、そんで噴出すリズムと悪口「どん底」
そして
一番のお気に入り!
戦後まもない貧しきカップルの休日。
そこにあるのは、楽しみか苦しみか?「素晴らしき日曜日」
全て購入、豪華特別仕様DVD。
物語は、あかひげこと三船敏郎こと頑固な医者がいる小石川療養所。
そこに若き医者加山雄三がやってきます。
さて、いかなることに?
素晴らしいの一言、はっきり言って本作の
山崎努の顔面
をみるだけでも一見の価値あり!レコメンいたします!
あのまるでかめ虫か、たがめのような弱きぐりぐりな病弱な目、陰影の恐ろしい光、薄ら寒さと芸を強烈に感じます!
私は加山雄三を見て涙がながれました(涙)
さながら自分が仕事をしているときに受けた感情
あるいは、大きな心を持った人にちゃんとぶつかった瞬間の事
どうしても聞くに耳が痛い話をじっくり腰をすえて聞いている瞬間にでくわしたその時間のよう
エトセトラエトセトラを思い出し落涙。
あかひげこと三船敏郎がヴェネチア受賞の眼光が飛びます。赤ひげが照らします、瞳で人間をうつし、かたります。むきあいます。
あの顔
あの眼差し
あの髪型 ヴェネチア受賞納得です。
そして三船特有の黒澤アプローチが魅せてくれます!
「用心棒」での肩のクィックィッ動かすしぐさ
「酔いどれ天使」のギラギラした病人 ポマード150%の髪型、よれよれと志村喬と対立軸という名の喧嘩
本作では、コミュニケーション時の髭のアプローチ
この特有なパーソナルを表現する動きというのは、黒澤、三船ライン作品のおっきな特徴になります、どの作品も実は必見であります。
重要な黒澤作品においてのテェッケダーポイントだと思います。
そして本作私の大注目点第2
日本映画の四大巨匠
黒澤明 小津安二郎 溝口健二 成瀬巳喜男
上記監督作品に全て出演なされている
日本の大女優 、ザ女優で名女優
田中絹代 と 杉村春子 であります。
黒澤明には、全く疎遠なお二方が「珍しく」出演しています、理由がよくわかりました。
黒澤ヒューマニズムには、欠かせない役割を表現したかったんだとお二方を見てわかり、嬉しかったですね!
杉村春子は、必見(ちょっと笑えます)
黒澤明のあかひげを通した人間模様
弱き人間達の訴え、その表情、その顔面
わたしもラストでまた、ジーンとしてしまうんですね!
三時間なんてあっちゅーま!
あかひげの三船医師は、あくまでストーリーテラー的鏡になっています、そこに映る人間が全て主役。そのリアクションが加山の役柄。
さて、
黒澤明のあかひげ
弱き人々の鏡赤髭三船
黒澤明の赤ひげが照らす瞳の鏡を是非ご覧ください!
(追伸)
僕はあかひげのごつごつしてうっとうしくて、めんどくさくて、あたたかなコミュニケイトこそ
今こそ
このノーコミュニケーションな世の中に
必要な何か
足りない「何か」
なんかな?と思いました。