もし、おさんの兄がお金を借りに来なければ…
もし、おさんの主人がおさんの言うことを信じていれば…
もし、茂兵衛がおさんに告白しなければ…
そんな運命論的な考えが浮かんで仕方がない。
人の選ぶ道は幸福の道ばかりではないし、
観ている側は不幸に感じるけれど
本人達はそれが最良の選択だったのであればハッピーエンドとも言える。
その分岐点の最大の見せ場で
茂兵衛がおさんに告白するシーンは
見事です。
水面に浮かぶ小舟がよい演出で
キャメラマンの宮川一夫ならではの撮影だなーと感心するばかり。
そして浮かんでいる無人の小舟を観て
想像を掻き立てるのです。
最後の使用人仲間たちの言葉に
救われました。