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ストーカーのRenのレビュー・感想・評価

ストーカー(2002年製作の映画)
3.5
楽しめた。今全く同じものを公開してもあまり意味が無い、時代が生んだサスペンスとして一見の価値アリな作品。ちょっと『タクシードライバー』みたい。こんなロビン・ウィリアムズもいいね。

ストーキングとは言っても異常性癖の話というよりかは、(先天的か後天的かは分からないけど)対人コミュニケーションが苦手な人が辿っていく話だった。こういう距離感の感覚がズレてる人いるし、こんな人相手に愛想笑いでやり過ごしたこと何回もある....と思い出した。絶妙な居心地の悪さ。あまり踏み込んではいけないのかもしれない。
他人を見て「なぜあんなに冷静で居られるんだ?」と疑問を抱くのがサイ(ロビン・ウィリアムズ)の全て。自分がそうしたいと思ったらそうするのが彼の行動原理で、欲求を抑えつけるという発想がハナから無い。
でも、サイが可哀想な話〜と結論付けるのも絶対良くない。実害は出ている。今作を観て彼にばかり感情移入してしまうのは、ある意味『ジョーカー』でアーサーに感情移入するくらい危険行為だ。

ネットストーカーではない、モノとして現像する写真だからこその恐怖。顔も名前も住所も筒抜けなの普通に考えてヤバすぎるし、「写真」の本質にこうやって迫ってくれるのは教材としても興味深い。個人情報やリテラシー授業の第一歩として観せても良さそうだけど、R指定故にそういう側面が薄れたのが残念。

あと個人的にはセットが凄く好きだった。スーパーのやたら天井が高くて照明が真っ白な感じ、そしてその片隅に写真現像ショップがある立地。職場もホテルも生活感が無く、「家」だけが温かみを帯びている。サイが逸れ者でかつ家庭に憧れを抱いていることをセットで表現している。無機質な店内で血を流す演出がチープだけど一番怖かった。

今作がR15指定されている理由は終盤に明らかになる。超一瞬だけど、下ネタ的にアウトなものが映ってた。言っておきますがDisney+で配信している作品です。

【余談】今作の大型スーパーのセット。この前久しぶりにトイ○らスに行ったら、客足が少なくガランとしていて強烈に恐怖をおぼえたことを思い出した。天井が高いのに解放感が無く、装飾も少ない。あそこに居ると世界で生き残っている人類は自分だけだと錯覚してしまう。
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