うにたべたい

猿人ジョー・ヤングのうにたべたいのレビュー・感想・評価

猿人ジョー・ヤング(1949年製作の映画)
4.6
いやー面白かったです。
キングコングのスタッフが再集結して作られた大猿映画なのですが、白黒の古い映画で全く期待していなかったのですが凄く面白かった。
初代キングコングも恐怖映画というよりも、コングのコミカルな表情や見世物にされた挙句悲劇的な最期を遂げるその悲哀がメインで、本作も怪獣の脅威が前面に出た内容では無いのですが、本作についてはもはやディズニー映画に近いレベルで楽しく愉快な作品でした。

大猿こそ登場しますが、ストーリーはキングコングとは全く異なっています。
父の都合でアフリカに住む少女ジルは、現地人から赤ちゃんのゴリラを譲り受けます。
ジョーと名付けられたゴリラは、ジルと共にすくすくと成長し、ジルは美しく育ち、ジョーは身長3mの巨大ゴリラに育ちます。
彼らの元に現れたナイトクラブを経営するオハラは、ジョーとジルに目を付け、アメリカのステージでショーを行い有名にならないかとスカウトをするというストーリー。
ナイトクラブでは悪い客がいて、ジョーは暴走をするのですが、基本的に登場人物は全員善人で、スッキリとした素晴らしい物語でした。
3mのジョーは怪獣の大きさとしては半端な感じがしますが、驚異を感じるにはリアルな大きさで、ジョーに人が襲われるシーンは迫力がありました。
ただ、ジョーは本質的には心優しい生物で、無意味に人に危害を加えるシーンはありません。
一点、ショーのため飼われているライオンがジョーに殴られたり投げ飛ばされたりしているのだけ不憫に思いました。

本作について特筆すべきはその特撮技術で、キングコングと同様にジョーはストップモーション・アニメーションで表現されているのですが、人間との絡み、ライオンとの戦闘シーンなど、どうやって撮影しているのか不思議なくらい自然です。
ストップモーションらしいカクカクとした感じはあるのですが、序盤のライオンの檻を破るシーンなどはジョーの行動に呼応するライオンの反応が凄く自然で驚くばかり、このシーンはとにかくすごかったです。

ストーリーの展開も早く、古い映画なのに全く退屈を覚えませんでした。
特撮レベルの高さもですが、映画としても非常に楽しめる名作です。