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赤い河のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

赤い河(1948年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

キャトル・トレイル(牛追い)を描いた西部劇。

「牛一万頭を南から北へ移動させる」という、シンプルかつ豪快な話が本作最大の見所でしょう。
“一万頭”と言われても、想像すら出来ませんが、それを実際に映像として見せてしまうのだから驚かされます。
CGではない、実際の牛を使った映像の迫力は凄まじく、その中で行われるスタントアクションもスリル抜群で、思わず声を上げてしまうほど。
「こんなのよく撮影したな~」と感心しきりで、映像を見てるだけでも感動しちゃいました。

物語面に関しては、主人公となる親子の対立が軸に描かれます。
ジョン・ウェイン演じる父親は強権的な姿勢によって、仲間が次々と離反していくわけですが、まぁ典型的なダメリーダーだったなと。
ジョン・ウェインなら、もっとカリスマ性のある役をやるのかと思っていたので少し意外でした。

モンゴメリー・クリフト演じる息子との対立は、父と息子、旧世代と新世代、パターナリズムとリベラル、といった様々な図式で見る事出来ます。
個人的には、『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーとルークの関係を思い出しましたね。
ラストで息子が無抵抗な姿勢を見せるところなんか、「ジェダイの帰還やん!」と思ったのですが、そこから殴り合いからの和解という、昭和の不良漫画みたいな展開に。笑
解説によると、元々は父親が殺される予定だったのを、ジョン・ウェインが嫌って、この展開になったんだとか。
父親の反省や改心を有耶無耶にするのは釈然としないし、ジョン・ウェインの態度そのものが父親と同一化してる様に見えます。

ちなみに、前半の方にある息子とチェリーが銃を撃ち合うシーンは、同性愛のメタファーなのかと思っていたら、本当にモンゴメリー・クリフトはゲイで、彼を揶揄する為に入れたシーンなのだとか!
ジョン・ウェインはタカ派の人間としても有名ですし、モンゴメリー・クリフトとは人間的にも正反対の人だったんですね。

最後までマッチョな男でい続けるジョン・ウェインは、やっぱり嫌だし、前時代的だな~と思いますが、キャトル・トレイルの描写に関しては、今見ても十分に楽しめるでしょう。
映画好きなら、一度は見ておいて損のない作品です。
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