Kuuta

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のKuutaのレビュー・感想・評価

3.8
夜明けのすべてと一緒に公開されている不思議

流れる車窓から見える、真っ直ぐに進む時間は刹那的。終わりが見えているからこそ、少しの間だけでも円環に入り、永遠を閉じ込めたいと願う。

都市を覆う環状線、回るトラムで語り合い、レコードを聴き、観覧車でキスする。回転木馬にひょいと乗り、家から聞こえる音楽に踊る。アメリカ人とフランス人という観光客が、ウィーンの円環にタダ乗りして恋に落ちる。街を離れても、ウィーンの永遠性は土地に刻まれている。

オフュルスの「輪舞」を思い出したりもしたが、会話要素が強すぎて中盤ちょっと眠くなった。「君は10年、20年後に別の人と結婚するけれど、あの時の人と結婚していたらどうなっていたかなと考える。そういう未来からのタイムトラベルを今からしないか?」。リンクレーターならではの大胆なセリフ。
Kuuta

Kuuta