Longsleeper

スパイ・ゾルゲのLongsleeperのレビュー・感想・評価

スパイ・ゾルゲ(2003年製作の映画)
2.7
ゾルゲ役の俳優さん、GoTのサー・ジョラーだった。
なので全編を通して英語喋ってます。
『ジョジョ・ラビット』や『西部戦線異状なし』みたいに、ドイツを舞台にした映画が全部英語で撮られるのは別にいいと思う。
英語で撮ったほうがたくさんの人に観てもらえるし、一貫して英語なら違和感は最初だけ。
でもこれは半分くらい日本語だからその意図は叶わないし、「なんでドイツ人やロシア人が英語喋ってるの」という違和感だけが残る。
日本語パートだけは全部日本語だから、その対比でやはり変に感じてしまう。

美術や衣装、撮影は、監督の引退試合ということもあって高い完成度。
都会も田舎も、映える昭和日本を贅沢に切り取って詰め込んだ感じ。
ただ、撮りたいものを詰め込みすぎて昭和日本のPV化してるのは否めない。
歴史的事象を忠実に追いすぎてドキュメンタリー総集編にもなってる。

ゾルゲの人生を軸にするなら、日本史の出来事はある程度捨象して人間関係や諜報活動を掘り下げたほうが良かった。
アグネスと尾崎、ゾルゲと花子の関係も雰囲気モチーフでしかなく、何で取り上げたのか謎。
宮城や近衛は登場の必要すらなかったのでは。
撮りたいカットをつなげるだけでは、映画じゃなくて完成度の高い雰囲気動画になるという現象を目の当たりにした。
メッセージがない三時間って辛い。
間延びしたカットや要らないシーンを削れば、三十分は縮まると思う。
なんでゾルゲが共産主義に傾倒したか、スターリンの粛清を知っても何とも思わなかったのかとか、葛藤があれば見たかった。
スパイ活動もすこぶる順調で、ある日突然終わるので、とくに緊張感はなかった。
すごく気になる人物を主題にしてて期待が高かったぶんキツかった。
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