経過を追っていた事件が映画化されたと知って鑑賞。
胸糞悪すぎて細切れにしないと観られなかった。
劇場で観たら数日は立ち直れない。
子どもがどれだけ親を愛するか、知っていて手放さない秋子の執着が気味悪い。
男性はいずれ秋子のもとを去ってしまうけど、子どもは絶対そうしないとわかっていて雁字搦めにしている。
それでも普通は、学校とか職場で他人の振る舞いや家族との関わり方を見て「こんなのおかしい」と気づいたり、依存されるポジションから抜け出すきっかけに出会う可能性がある。
でも周平は学校にも行けず、職場でも孤立して、常識を知る機会から切り離され続ける。
ずっと秋子や遼の都合が支配する状況しか知らず、自分が見捨てたら冬華や秋子はどうなるんだと思い続けるなんて、自分のしたいことが入る余地が1ミリもない。
ろくでもない遼と付き合い続ける秋子も、最低な母親に愛想を尽かさない周平も、愛を知らない人ほど相手に縋ってしまうんだと思った。
それでも秋子の場合は、体を差し出せば一瞬だけ見返りがある。
その一瞬が終わると周平のところに戻ってくる。
仕事も恋愛も生計もままならない秋子にとって、唯一思い通りになるのが周平だから。
誰からも何も与えられないのが普通になっている周平は、自分が一番愛してほしい秋子に縋るのが通例になってしまっている。
少しでも他の人と関わりがあって、その人たちに何かを与えられたり、愛してもらうことができれば、「自分を大切にしてくれる人は、こういう風に接してくれるんだ」と気付けたかもしれない。
今は赤ちゃんだから猫かわいがりしてれば良いけど、その時がきたらちゃんと子離れしなければ、と思わされる映画。
