Longsleeper

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のLongsleeperのレビュー・感想・評価

4.4
エニグマ解読という歴史を変える快挙を遂げつつ、ひとりの人間には大きすぎる苦悩を負った数学者の生涯の話。

前半のチームメンバーとの関係の変化や、ジョーンとのやり取りは心温まったり勇気づけられる内容だけど、中盤以降にチューリングの抱える孤独には胸がキシキシ締め付けられるようだった。。。
どんな天才であろうと、あんな孤独を抱えたら辛すぎる。
心の栄養は才能や知能でカバーできるものではないからこそ、支えてくれる人が必要なんだと思わされた。
いっとき友情ってものを知ってしまったからこそ、情報戦に巻き込まれてからの孤立はとてもしんどかったと思う。

終わってからWikipediaでチューリングのことを読んだら、長距離走が得意だったとかのディティールがさりげなく映画に反映されていて、本人への敬意を感じた。
失われた人は戻ってこないけど、報われなかった人生に少しでも慰めがあってほしい。

ドイツ側から大戦を描いた映画を観ることが多いし、結果負けたことも知ってるから、戦争中のドイツ軍の恐ろしさを感じたことがあまりなかったかもしれない。
中盤までは連合国勝利の糸口も見えず、不安な毎日を生きながら、大切な人が死なないでほしいと願っていた人がいたことも実感させられた。

20年近く前に同じくエニグマ解読を扱った『エニグマ』を観たけど、比べるべくもなくこちらのが1,000倍素晴らしい。
『エニグマ』はチューリング自身が登場しない(彼を模した架空の人物が主人公)し、抱えていた秘密についての描写も一切ないので。

アランがもっと器用な人なら、自分の心も守ることができたのかもしれないけど、そんなことに脳のリソースを割いてる普通の人だったら、こんなことは成し遂げられなかっただろう。
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