とみやま

カイロの紫のバラのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

つらい現実から逃げ出して、映画の虚構に逃げ込め!っていう、痛いほどわかる素敵な映画だった。というか、映画館に限らないけど、劇場ってそういう場所でもあるよね。自分の居場所を作ってくれるというか、時として「お前全然大丈夫だよ」って丸ごと肯定してくれる場所。劇場を出て「よし、どうにかするか!」って元気が出たりするし。

もちろん、虚構が過ぎ去った後に、厳しい現実に突きつけられてしまう。ラストの苦い展開は、うまくいかない現実をしっかり見つめさせられる気持ちになるけど、それでも、映画館はそこで待っていて、キツい現実をほんの少しだけ緩めてくれる。

82分のタイトな時間もとても良くて、(もっと観ていたい気持ちにもなるけど)心地が良かった。あと、トムがスクリーンを飛び出したあとのスクリーン内がすごい面白かった。あからさまに退屈してるし、トランプしてぐーたら愚痴をこぼしあうオフビートな空気がたまらなく良かった。映画への愛、物語への愛が溢れ出ていて、映画を観るってこういうことだよね、って思う。Netflixとかで映画観るのも良いけど、やっぱり映画館で早く観たいな
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