緑雨

ダークナイト ライジングの緑雨のレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
2.5
登場人物の存在がプロットに辻褄をつけるための「説明」そのものになってしまっている。『バットマン・ビギンズ』でスーツやマスクを自作する件りまで丹念に見せていたディテールへの執着はどこに行ってしまったのだろう。

ベインにしてもロビンにしても(役名忘れたけど)マリオン・コーティヤールにしても、そして肝心のブルース・ウェインにしても、何を動機に行動しているのかが腹に落ちてこない。もちろん説明はされている。が、それが言葉など無くても伝わってくるほどの感情にまで高められていない。

マイケル・ケインなんて肝心のクライマックスでは完全に不在になってしまいながらラストでは白々しく役割を持たされ、一方で突如キリアン・マーフィが登場したり、終始チグハグ。

唯一魅力的なのはアン・ハサウェイだが、それは彼女がメインプロットには深く立ち入って来ないアウトサイダーとして描かれているから、という逆説。

素晴らしいアクションシーンも無かったわけではないが、前作『ダークナイト』のように、キャラクタの動機などどうてもよくなるほど畳みかけられはしない。これだったらディテールを丹念に描こうとしていた分、あのもっさりした『バットマン・ビギンズ』のほうがまだよかったと思ってしまう。
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