LEONkei

北陸代理戦争のLEONkeiのレビュー・感想・評価

北陸代理戦争(1977年製作の映画)
3.5
生き延びたい人間が死に、死んでもいい人間が生き延びる無情な世界に…。

真冬の日本海の冷たい乾いた風は頬をつん裂く厳しさに晒され豪雪に埋もれ、極北の地で耐え凌ぐ人々は無言の叫びで必ず訪れるはずの春を憂い願う。


映画の中でも分かる通り北陸三県の気質を越中強盗・加賀乞食・越前詐欺師と俗に言われるが、三者の共通点は生きる為にはなり振り構わず手段を選ばないしぶとさ。

主人公〝川田(松方弘樹)〟の異常なる土地への執着はヤクザ仁義を越え、北陸人としての魂は地への仁義に捧げる熱誠は深い。

実在するヤクザを描く実録映画も時流に沈み深作欣二の終焉と黎明な区切りの作品、今観れば役者も含めこれほど情熱的で破天荒で強烈で且つ単純明快な映画は現代では製作は不可能。


首が飛んでも血も涙もでない人間もいるが、例え傷ついても血が出てるうちは生きてる証。

誇り高き北陸人の魂は他の土地には存在しない気概があり、盃より土地が大事で血は水より濃い。

巨大な白魔に覆われた中で消え入りそうな叫びを聞き逃すな..★,
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