健一

居酒屋兆治の健一のレビュー・感想・評価

居酒屋兆治(1983年製作の映画)
3.8
BSにて放送。録画して深夜に鑑賞。

突然ですが 皆様は街中で『号外』を手にした事はあるでしょうか?
TVのニュース映像で駅前などで号外を街行く人々に配っているのをよく見ますが・・・
私は生涯で一度だけもらった事があります。
6年前 新宿の街を歩いていたら駅前で号外を配っており人だかりができていた。私も一部頂き紙面を見て愕然とした。
そこには大きな文字で『高倉健 死去』。
一瞬 目の前が真っ暗になったのを今でも鮮明に覚えている。


様々な挫折と再生を経て 函館で居酒屋を営む男 英治。
かつての恋人で今は人妻となった女 さよの転落人生が気にかかるが 今の生活を守る為 何も出来ない自分と振り払えない思いに挟まれていく。
人が人を思うことは誰にも止められないのだ!
細やかな生活を守りたいだけなのに英治の周りで幾多の出来事が彼を襲い 苦しめる。
それでも人生は続く。『さぁ、がんばるぞ!』と自分にムチを打ち また明日を生きていく。
不器用な男のなんとも切ない物語。

健さんは黒澤明監督の「乱」の出演依頼を断ってまで本作に出演したらしく、健さんらしいというか なんとも不器用というか。
健さんのイメージ イコール『不器用な男』というのは この辺ごろから定着していったのもうなずける。
この作品の健さん演じる主人公もなんとまぁ不器用というか歯がゆいというか馬鹿正直というか。
でも!憧れちゃうんですよね。この実直な感じ。

本作は英治が営む居酒屋『兆治』に集まる 常連客、親友、先輩、近所の同業者などの様々な人生模様を描いた作品。
「男はつらいよ」みたいな作品なのかと思っていたが とても喜劇とは呼べない。かなりハードな人生ドラマ。
函館っ子と江戸っ子との違いもあるのかな? 函館出身のフォロワー様。どうでしょうか?

キャストがとにかく超豪華!特に伊丹十三さんの演技は最高でした。大原麗子は超美人だし。当時みんなメロメロになったのでは?

高倉健さんと本作の監督 降旗康男さんの黄金コンビは有名だが、正直今まで「あ、うん。」と健さんの遺作となった「あなたへ」しか観てない。
今後も何とか時間を作って過去作も観てみよう。



😷コロナパンデミック中に鑑賞😷
健一

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