Newman

60歳のラブレターのNewmanのレビュー・感想・評価

60歳のラブレター(2009年製作の映画)
4.0
観て良かったです。興味深く観ました。でも何か気に入らないなぁとも思いながら観ていました。今みたいに人との関係が希薄になっている(と思っているのですが)のに、魚屋のご主人(イッセー尾形)とその奥さん(綾戸智恵)さんのように本当の気持ちを素直に言えず、でもここはダメと人の痛いところをズバズバ言い合う関係はどうなのかと思ったのです。そうそう奥さんを亡くしているお医者さん(井上順)の娘さんが、結婚を奨める場面では「遅い結婚で生まれた私はお父さんのことを介護するなんて嫌なんだから」と言わせたり(私はビックリし呆れました)。そうしているからこそこの映画では本当の気持ちが際立ってくるのは分かるのですが、ちゃんと気持ちを伝えなきゃ分からない時代じゃないかと思うのですがどうなのでしょう。最後は、あんなふうな終わり方が、お客さんに映画館を気持ちよく出てもらい、また足を運んでもらうには一番いいのでしょうが、離婚した元夫妻(中村雅俊、原田美枝子)がああなるとはとても思えませんでした。いろんな女性がいるのは分かっていますが、30年間自分のことを振り返らなかった元夫に「やり直そう。君はただ俺の後ろをついて歩いていたわけじゃない。ずっとお前が背中を一生懸命押してくれていた。今それが分かった」と言われて、赤ちゃんを産んだばかりの娘(星野真里)に言われた(星野真里さんの声も素敵でした)「夫婦がうまくいかないのってやっぱりどっちかが悪いんじゃなくて2人のせいだと思うよ。だからいい?人生で一度ぐらいは裸になりなさいよ。じゃないと幸せになんて永遠になれないから」の答えとは思えなかった。奥ゆかしくて引っ込み思案の奥様らしくはありましたけど。最後は「幸せの黄色いハンカチ」のようでした。戸田恵子さんの翻訳家の役、良く似合ってると思いました。生意気ってshrewdなのって思いました。
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