初見の時、全体像はわかるものの細かいところが理解できないまま終わってしまい、再見の前は、解を得てから見ようと先に調べてみたんだけど、人名がチャン、チョン、ヤン、ヨン、シェン、ウォンって誰が誰なのか、ますます混乱に陥るという収集つかない事態になる。
とはいえ予習して再見したら内容はバッチリ。
特にヨンとシェンのこと、モヤりながらズルズル最後まで行ってしまった初見は本当にもったいないことしたなと反省。
本作のわかりにくさのネックは単純に時系列を行ったり来たりするだけでなく、病んだラウの妄想が入り組む点。
それも含めて理解してジックリ見れば本当に味わい深いよく練られた作品だと改めて感心する。
途中すっ飛ばしてよくわからないところがあっても終盤でスタート地点に戻る閉じ方は三部作として秀逸としか言いようがない。
疑問であり不満となるラウの妻マリーの存在についても、結局、ラウの道の始まりは別のマリーであったわけで、そのままマリーで閉じられるという、終わりのない輪にハマった人間の生き様として描きたかったのかな、と推測。
トニー・レオン演じるヤンのエピソードは最初から最後まで見事。
特に細かいところだけど、報告書についてウォンに愚痴るところは、ヨンとの完璧な報告書についてのやり取りが伏線だし、しかもその件については2作目でウォンに自分が作成したハウの記録ファイルを渡すセリフのところで、日付順に綴じた、順番は絶対にくずすなと言い置くところに活きていると気づいた時の戦慄!
リー先生とのエピソードは本当に切なく、比較して若き日の恋人の件はあまり活きていない。
だからこそ1作目の感想につながってしまうけれど、女性を1人に絞ったリメイク「ディパーテッド」はオリジナルに忠実でありながらシャープに切り取ったという感想は再見しても同じ。
2作目ではロ・ガイ外伝が欲しいと思ったけれど、本作はシェン外伝が欲しいかな。