アルトマン監督の遺作。お得意の群像劇だが、あたたかい視点だった。
白いコートの女が良い。天使。
劇場のあちこちに現れ、見える人と見えない人がいるし、天使らしい力を持っっているようにもみえないのが良い。
探偵ふうの保安係、ガイ・ノワールもあちこちに顔を出し、物語を進行させ説明する「ストーリーテラー」を務める。
今宵限りで取り壊される劇場の物語は、単純なハッピーエンドではないが、暗くもなく、むしろ希望を感じさせる。
心臓手術もして、死期を悟っていたアルトマン監督は、『ナッシュビル』や『ショート・カッツ』のようなシニカルなものでなく、ここに達した。
感慨深い。
あいかわらず動きっぱなしのカメラワークにも、しみじみしてしまう。