次郎

機動戦士ガンダム II 哀・戦士編の次郎のレビュー・感想・評価

4.2
相変わらずポスターのビジュアルが良すぎる劇場版三部作の第二作。この前にガンダムUCを観ていたのだけど、こうやって追いかけるとUCは初代の展開をなぞっていることがよくわかる。ランバ・ラルは主人公が乗り越える敵役として最高のキャラクター。酒場での遭遇とハモンとの会話、二人の散り様も含め全てが完璧で、余りにも人間的な描かれ方はガンダムを勧善懲悪でない群像劇としての物語に昇華させている。
しかしアムロって自分勝手に逃げ出すイメージがあったけど、連邦側やブライトさんの無茶振りを見てると別にアムロがメンタル弱いわけじゃないよな…と思うようになったり。ニュータイプに対する言及が増えながらも、結局戦争に利用される駒としてしか扱われないなら嫌にもなるわ。
そして、本作のサブタイトルにもなっている挿入歌「哀 戦士」。メロディに対する歌詞の性急な譜割りに最初は苦笑したけど、何度も聞くうちにこれは戦場で死にゆく兵士の比喩なのだと気が付いて俄然名曲度合いが高まった。後で知ったのだけど作詞の井荻麟は富野監督の変名なのね。一作目がSF要素の強い宇宙での戦いがメインだったのに対し、地上での白兵戦や多くの犠牲が描かれ吹き荒ぶ荒野のイメージが強い本作に、戦場の悲哀を込めた楽曲が完璧にマッチしている。

死にゆく男たちは
守るべき女たちに
死にゆく女たちは
愛する男たちへ
次郎

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