きょんちゃみ

神の左手 悪魔の右手のきょんちゃみのレビュー・感想・評価

神の左手 悪魔の右手(2006年製作の映画)
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【なぜ右と左はどっちがどっちだか、わからなくなるのか】

無重力状態ではニワトリの卵は孵化しない。重力がなければ生まれることさえできない生物もいる。重力があるという環境を前提して肉体の構造が決まり、その肉体の構造に合わせて上と下が決まる。さらに、前と後ろも肉体の構造が決める。目があり、動きやすいほうが前になるのである。実は、肉体の右と左が非対称な動物もいて、シオマネキやミミズクは、そのように非対称になるように環境からの淘汰圧を受けたことになる。シオマネキの場合、横歩きをするから、明らかに左右非対称の腕を持っていても邪魔にはならないが、人間の場合は横歩きをしないから、左右非対称の腕をもっていたら、さぞ邪魔になったことだろう。ミミズクも、左右非対称の位置にある耳のおかげで獲物の位置を夜中でも正確に把握することができるようになったし、これが生活の邪魔にはならない。人間の場合、右左がかなり対称的であるが、これは左右が対称的であってもなんの問題もなく、逆に左右が非対称だと歩きにくいという問題があるというような、そういう環境からの淘汰圧を受けたからである。だから人間の場合、左右はどちらがどちらだったか分からなくなるというような流動化を受けやすい左右対称の肉体になっているのである。なお、人間の場合は、心臓だけでなくすべての臓器が左右反転している人がいる。これを内臓逆位という。内臓逆位は、別にこうであっても困らないので、淘汰圧を受けなかったということを示す一例である。人間の場合、内臓すら左右反転していても構わないくらい、左右が対称的なほうが生き残りやすい環境で生きているのである。そういうわけで、左右が対称的でも困らないしむしろそうであることが望ましい環境で生きてきたから、実際に人の肉体は左右が対称的になった。この左右対称性が理由で、右と左はどっちがどっちだか、わからなくなるのである。右と左が流動化しやすいのは右と左がそっくりだからである。もし仮に、肉体が明らかに非対称で、右手だけ異常に肥大していたりすれば、鏡を見ても挙げている手がどちらの手かは瞬時に分かったことだろう。
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