そのじつ

陽炎座のそのじつのレビュー・感想・評価

陽炎座(1981年製作の映画)
3.3
はじめの辺り大楠道代が「雨月物語」の京マチコみたいで怖くていいな。
情事のシーンがおもしろい。
密着しているはずの2人を、1人ずつ映し出す。ひとりで昂まりを演じる俳優。エロスも感じるけど、がんばってるな…という気持ちにもなる。

蒔絵がほどこされた客車とか美術が豪奢でいい。さすが加賀百万石!?

後半がホントに不思議なので鏡花の「陽炎座」も駆け足で読んでみたら、クライマックスの舞台となる田舎の芝居小屋のあたりからその「陽炎座」なのだった。
「途端に海のような、真昼を見た」の一文を見事に映像化したのはさすが!とかいうゴタクも出ずもうただ絶景!!

あとは深沢七郎の短編がチラッと見えたぎり。元ネタが分かればさらに面白いかもしらん。

美女を樽の中へ入れたい衝動ってなんでしょう。

松田優作の姿が美しいね。背が高くて足が長い。世間知らずのお嬢さんがちっと粉をかけてみたくなるのも無理からぬ。
顔の印象は長男に、深くて低い声は次男へとその美質を与えた。

中村嘉葎雄演じる貴族的な男が、女ばかりでなく男も美しいのを選んで侍らせてるなと思えた。偏執的に粘着してくるもんね。

今回初めて全部見たのですが、「夢幻紳士」の元ネタが見られて嬉しかったな。
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