竜平

フィッシュストーリーの竜平のレビュー・感想・評価

フィッシュストーリー(2009年製作の映画)
3.6
2012年、彗星の地球衝突による人類滅亡まであと5時間という中、とあるレコードショップから物語は始まる。伊坂幸太郎の小説が原作のトンデモ群像劇。

U-NEXTで見つけてめちゃ久しぶりに鑑賞。売れないパンクロックバンド、ドライバー兼パシリ扱いを受ける若者、シージャックに巻き込まれてしまう女子高生や船員などなど、それぞれ異なる年代の異なる状況にある人物たちのあれやこれやがオムニバス形式のような感じで脈絡なく映し出されていくんだけども、密かに全部の話が繋がっているという構成の妙。キャストには伊藤淳史、高良健吾、大森南朋、そして濱田岳や多部未華子や森山未來など。石丸謙二郎の嫌なやつっぷりよ。ノストラダムスの予言とか話題で出てくるあたり本当に懐かしいなーなんて思いつつ、他にもカセットテープ、ゴレンジャーなど、じつに伊坂幸太郎作品らしい伏線の張り方、アイテムの配置というのが印象的。でまぁ、これは邦画版『クラウド アトラス』とでも言っとこうかな、いやあっちとは全然規模も壮大さも違うわけだけども、なんかいい感じにまとまって、いい感じに着地してくれる、そんな一本。

てかわりとしょっちゅう思うことで、個人的には邦画特有のまったり感がやっぱり気になるところ。題名の「Fish Story」にはホラ話という意味合いがあるわけだけど、それを加味してのシュール具合も見えつつ、でももっと盛り上がってもいい気がするのは俺だけなんだろうか。こーゆーある種のバカバカしさをもっと感動に変えれたんじゃないか、なんて。ただ誰かの起こした些細な行動や想いが繋がるという展開、自分のそれがそうなったとしたら、みたいなロマン及び妄想にはどうしようもなく惹かれてしまう俺でしたチャンチャン。
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