広島カップ

太陽を盗んだ男の広島カップのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
2.5
主人公である中学校の理科の教師(沢田研二)は原子爆弾を家で手作りして日本政府を脅します。
要求は巨人戦のTV中継を試合終了迄やること、ローリング・ストーンズの来日公演を行うこと、そして現金五億円。
それくらいのことで私の住む東京を危険にさらされては困っちゃいます。

現実感から遠い社会科と理科の知識で展開するストーリーが少し辛い。
もしも何かの寓話のつもりならばもうちょっと細かいところは適当に端折ってもよかったのではと思います。

本作は1979年製作。
同年の3月にはスリーマイル島の原発事故。
チェルノブイリ原発事故は7年後の1986年。
日本全体に原子力に対しての知識が乏しくそのような原発事故は日本では起きないと信じられまだ夢のエネルギーとしての認識の方が強かった時代の物語。

ローリング・ストーンズは本作の前年にはアルバム"Some Girls"(女たち)を発表し全米ツアーを行っているので、万が一犯人の要求通りに日本で公演を行っていたとするとこの時の内容に近い物になっていたかもしれない。(観たかった笑)
ちなみにハル・アシュビーの撮った『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』(1983)は1981年のツアーの様子を映画にしたもので当作で仮に実現していたツアーとは内容は少し違う物だったでしょう。

その他この作品の辛いところは主人公を始め出演者にあまり感情移入できないところです。
警察側も追及が緩く犯人にいいようにやられクールでスマートなところが見らません。
ただ菅原文太のエネルギッシュな面だけは魅力的でした。
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