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太陽を盗んだ男のTSのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
3.8
【原爆を持ってしまった男】81点
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監督:長谷川和彦
製作国:日本
ジャンル:犯罪
収録時間:147分
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理科の教師が自力で原子爆弾を作ってしまい、それを糧にしてさまざまな脅迫をしていくというカルト映画。皇居の前のバスジャックシーンといい、原爆を爆破させるというトラウマ的設定といい、当時の日本ではあまり受け入れられなかった作品と言えそうです。極めて反国家的な内容であり、これがもし社会主義の国で制作されたのならば、監督の命も危なかったのではと思えるほど。しかし、妙にこういう設定は見ていて面白い。菅原文太演じる山下といい、頑丈な人が多くて笑ってしまいました。

中学校の理科の教師である城戸誠はある日クラスごとバスジャックに巻き込まれる。天皇に会いたいという犯人の前に山下という警部が現れるのだが。。

最初のバスジャックシーンからハラハラさせられます。自分の子を戦争で亡くした中年の男が武装して一人で乗り込んでくるから衝撃的。今でこそこういうものは減少しましたが、戦争が終わってまだ間もない頃にはこういう事件もあったのではないでしょうか。その後、教師である城戸はなんと発電所から液体プルトニウムを盗み、自分の家の特設ルームで原爆を作っていくのです。この原爆を作るシーンが斬新であり不思議と魅入ってしまいます。

さて、小型の原爆を備え持つ城戸はいわば無敵状態。女性に扮しては警察に電話をし脅していきます。そこで台頭するのがバスジャックにも対応した山下警部であり、城戸は山下のことは気づいてるが、山下は城戸のことに気づいていないまま、スリルある展開が広げられていきます。

今でもそうですが、当時はさらに原爆のトラウマが根強く残っていたはずです。なるほど国家を破滅させた原爆は国家の弱み。ならばそれを備え持てば、今の国家を転覆することが可能ということですか。まあどう考えても一個人が原爆なんて作れやしないのでしょうが、あんな小さいもので人はコントロールされるのだと思うとゾッとしました。
それにしても躊躇なく発砲しますし、まるでゾンビのごとく、一発食らっただけでは死なない。特に山下警部の頑丈さは異常でして、最後のシーンには少し笑わされてしまいました。
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