shibamike

激怒のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

激怒(1936年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画「M」の対となるような作品。
Mでは、殺人を実際に犯した犯人が群衆から怒りの裁きを受けたが、本作では誤認逮捕された無実の男ジョーが裁判も受けていない段階で、群衆から怒りの裁きを受ける。

全体的に強引な印象を受けた。保安官がジョーを逮捕するのもかなり安直だと思ったし、群衆の暴徒化もただ荒くれ者が多いというだけで、説得力が弱く感じた。ジョーが企てた復讐の裁判にしても、あれよあれよとリンチした側が不利になり、歯ごたえ弱め。

しかし、大ラストでキャサリンがジョーを諌めるシーンが素晴らしかった。
「復讐では幸せになれない」
自分は気が狂うほどの激怒をしたことが無いので実感を持って語れないが、本作のラストで、復讐へのこだわりから来る孤立にほとほと懲りたジョーが改心して出廷したのを見て、爽やかな気持ちになった。復讐にこだわるのではなく、自分とキャサリンの幸せにこだわることにした。とはいえ、これは本作では憎き敵達への復讐を多少実行して痛い目に遇わせているから、割り切れる要素も大きいはずで、現実ではやっぱりこうも割り切れないであろう。

大時化の後に穏やかな凪がやってきたかの様に、ジョーの激怒は鎮まった。
惨めでもしぶとく生活せんければならんと思った。
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