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EUREKA ユリイカのdarumaのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
3.9
以前から岸井ゆきのちゃんがこの映画の名前を度々挙げていて(青山真治監督の訃報の時と、あと御自身が監督の別作品に出ているからかな?単純にお好きだというのもあると思います)、気になっていた作品。昨年の追悼で録画しておいたのですが、あまりの長さに観る勇気が…(3時間37分)で、ようやく!観ました。

正直、寝不足で観ちゃダメなやつ。
って言うほど眠くなかったはずなのに、物凄く睡魔に襲われる…
3時間半だけど、観終わるのに5時間くらいかかりました。
極限まで台詞が排除されている。(若干イメージムービー感もある)
見逃すとどこまでも見逃しそうな…
嫌いじゃなくてむしろ好きなんだけど、とにかく眠かった。
確かに削れないかもだけど(すべてに意味はあるというか…でも長回しがちょっと長すぎる感はなくはない。特に遠景の)、もうちょいコンパクトだとよかったかも…せめて3時間くらい(と濱口監督もドライブ・マイ・カーで言っていませんでしたか!?(プロデューサーに言われたと。)あれが確か2時間59分)

余談ですが私の中で長い映画と言えば、前述の濱口竜介監督の「親密さ(4時間15分)」、瀬々敬久監督の「ヘヴンズ ストーリー(4時間38分)」なんですが、これに並ぶ作品になりました。でも、印象は三者三様。親密さは構造にアッというような驚きと台詞がかなり濃縮されている、ヘヴンズストーリーはオムニバスなのでそれほど時間を感じなかったのですが、本作は割とテーマに沿って淡々としています。極力説明を避けようとしているのだと思いますが、たまに入る台詞が逆に説明調でちょっと勿体無い気がしました。

掴みは西鉄バスジャック事件(これリアルタイムで知ってる気がした。西鉄という言葉そのものが画面内に出てくるのでピンと来ました。これに着想を得ている…と書いたのですが訂正。撮影後に事件が起きたそう。驚き)で、結構ド派手に始まるので目が爛々。ですが、そこからが…(でもそこからが本番)

途中、ミステリーなのかな…?(監督の「レイクサイド マーダーケース」を鑑賞済み。同じ役所さん主演で東野圭吾原作なので)と思いましたが、ロードムービーになり、最後は哲学まで行った…
でも、観る前のイメージがかなり抽象的な作品なのかな?と思っていたので、最終的にはその事前印象と一致したところで終わりました。

スポンサーに電通が入っているんですが、少しだけそれっぽさも感じた。

未完成の宮崎あおいさん(というよりは既に完成している宮崎あおいさん)を観る為の作品。
ちょっと「初恋」を連想しました。宮崎あおいさんのお兄さんはそちらでも共演されてましたね。もう役者さんはしていないのかな?

本作はカンヌでいくつか受賞しているんですね。だからか…
役所さんの作品をいくつか観ていますが、そのどれもが本作をベースに役どころが与えられているような気がしました。
細かな内容の記憶は曖昧ですが、三度目の殺人、孤狼の血など。

青山監督は福岡北九州のお生まれなんですね!
誰が出ているのか全然知らずに観始めたのですが、冒頭にクレジットが出るタイプの映画で、光石研さんのお名前が(光石さんも北九州御出身です)。おおー!と思ったら、めっちゃくちゃ出てる!!主人公の友人?みたいな立ち位置で、役所さんとの絡みがめっちゃある!(嬉)しかもまさに御出身地ネタみたいなトークをするシーンが(笑)そしてとにかくお若い…ちょっとやんちゃ系な感じで今とは全然雰囲気が違います。光石さんの昔の作品と言えば「セーラー服と機関銃(1981年)」を観たことがあって、さすがにその時から20年は経っているのでそこまでお若い(というかそれはもうほぼ少年)という訳では無かったんですが、いい感じの青年?よりはちょっとおじちゃん?みたいな雰囲気を醸し出してました。

ロードムービー部分はご当地だったんだな、とも感じた。

あと、そのクレジットで
利重剛
松重豊
しげしげコンビ…!(りじゅうさんはしげじゃない。。)
もとい、重々コンビ。
お2人もお若かった!!

そして特筆したいのが!
尾野真千子さんが出てました。
めちゃくちゃ!めちゃくちゃお若かった…まだ10代!?
でもちゃんと尾野真千子してました。

秋彦役の方、お名前は存じませんでしたが、彼がとても市井の人目線で効いてました。観客代表のような…

作品のテーマは壮大すぎてちょっとうまく語れませんが、
個人的には「トラウマを超える」かな…?

一線を越えるか越えないか、その違いは。
(元は同じだったはずなのに…)
それが一番、グッと来たかも。
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