ハンガリーから来た従姉妹エヴァを10日間泊めることになったウィリー。
博打で生計をたてるウィリーはエヴァをぞんざいに扱うが、泰然とした様子のエヴァ。
互いにマイペースに過ごしているようだったが、別れる時には一抹の寂しさを感じるのだった。
博打で儲けたウィリーは、相棒のエディと共にクリーブランドの叔母の家に身を寄せているエヴァを訪ねる。
フロリダへのバカンスへ繰り出す３人。着いた早々ケンカをして、エヴァはふたりに置き手紙をしモーテルを去る。慌てて追いかけるふたりだが…
短いシークエンスを暗転を挟みながら次々つなげていく手法。ひとことも喋らないまま１つのシークエンスが終わったり、そのシークエンスではカメラが固定されていたり。顔がアップになるシーンがなく、表情＝感情をあからさまに訴えかけてくることがない。観客は場の空気を読んで彼らの内心を推しはかる。その「推しはかる」ことで観客それぞれにフィットする感情や内心の呟きが出てくるんではないだろうか。（しかしウィリーのセリフがファッ●●だらけで笑った）
１８そこそこに見えるエヴァはチャラいワンピースをゴミ箱に突っ込んでしまうような女の子。冒頭、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスをラジカセで鳴らしながら、黒い（？）トレンチを巻きつけ、大きめのズボンを履いて無表情に見知らぬ街を真っ直ぐに歩いていく彼女のクールさが刺さる。
無情・乾いた印象の映画だが、社会との関わりが薄い彼らだからか、仲間内に置く心の目方は決して軽くない。ただ互いに言葉を贈りあったりしない若者たちはすれ違っていく。その悲喜劇ぶりもまた無表情で、ドライで、ほのぼのと愉しい。
ベタベタした「情」を画面の中心に置かないイカした喜劇だった。
