むらむら

50/50 フィフティ・フィフティのむらむらのレビュー・感想・評価

5.0
「(500)日のサマー」もそうだけど、 ジョセフ・ゴードン=レヴィットはタイトルに「5」が付く映画に出演しないと死ぬ病気にでもかかっているのだろうか。この「50/50」に続いて、2019年には日本未公開だけど「7500」っていう作品に出てるし。名前にも「ゴー(5)ドン」が入ってるし(関係ない)。俺は彼の次回作は「FUKUSHIMA 5000」に違いないと勝手に予想してる(当たるかな?)。

そんな50%も当たらなそうな予想はさておき、この映画、27歳にして癌に侵され、生存するかどうかは「50%」と宣告されたアダムくんの物語。

先に言うけど、俺、「不治の病」ジャンルは、千眼美子が出演する映画以上に苦手。

だって、パターン読めちゃうんだもん。

途中、やたら楽しいシーンが有って、最後ドーン、みたいな。

ジェットコースターで例えたら、日常の幸せをガタゴトガタゴト積み上げていって、不治の病の宣告で急降下。報われない恋愛とか親子の愛情で二回転半、振り回し、手術か葬式でゴール! みたいなのばっかじゃないですか。どれも同じ。かき氷のシロップの味は色が違っても実は同じ、みたいな。

その視点で言うと、この映画の展開はド級が付くほどにド定番。「不治の病」好きの人の心を掴んで離さないと思う。

ただ、俺的に観てて辛かったのは、癌だと分かったアダムが、親友カイル(セス・ローガン)とナンパに繰り出すあたりのアメリカンなノリ。もうちょっと悲惨な感じを出そうよ。パーティー中に、アダムが血ゲロ吐いて女の子にブッかけるとかさ。単にハッパキメて乱交して、病院に行ったら担当の心理療法士は大学出たばかりの超美人(アナ・ケンドリック)って、ラッキースケベすぎて、ぜんぜん共感できなくない? ここはアンソニー・ホプキンスみたいなのが心理療法士で出てきて、「死ぬぞ~死ぬぞ~」って、メッチャ脅してくれないと。

なので、俺はこのアダムくんのキャラクターに関して、全く共感できなかった。もし彼がSNSとかやってて情報発信してたら、アンジャッシュ渡部と共に世間(俺)から袋叩きになってる(というか、なってほしいという願望)。要所要所で流れる曲もいい感じなだけに、余計にムカつく。

たぶん、俺みたいな陰キャは、この映画のターゲットではないんだろうな。作り手の「お前みたいなのは、一人で『マッドマックス』かペキンパーの映画でも観てろ」って声が聞こえる気がします。

なので、俺じゃない側の50%の人にとっては、感動できる良い映画だと思います。

ちなみにこんな俺の好きな「不治の病」映画は「マン・オン・ザ・ムーン」。俺側の50%の方で、未見の方は是非。
むらむら

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