むらむら

DOGMAN ドッグマンのむらむらのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
5.0
幼少時代のトラウマから犬を操り闇世界で活躍するようになった男“ドッグマン”の話。

同時期に「犬人間」って作品も公開されてた(未見)から、若干混乱するが、こちらは、リュック・ベッソン監督作。

正直、俺、リュック・ベッソンは、広末涼子が出てきたあたりから中の人がプーチンみたいに入れ替わってるんじゃないかと思っていたのだが、本作は面白かった。

冒頭、数十匹の犬をトラックに乗せたドラッグクイーンの格好をした足の不自由な男が、ニュージャージー州で警察に勾留される。男は、“ドッグマン”と名付けられ、物語は警察内での女性精神科医による尋問に答えるという形で進んでいく。

「それ、『ユージュアル・サスペクツ』にオカマの格好させただけやん?」

なんて言ってはいけない。

確かに似たような設定だけど、むしろ、物語の印象としては「ジョーカー」に近い。

主人公のドッグマンの、犬への愛情と、犬のドッグマンへの忠実っぷりが凄まじい。数十匹の犬を、完璧に統率して、家に忍び込むは、物は盗むは、人は襲うわと、やりたい放題。この犬からの愛されっぷり、確実に、ドッグマンの先祖は、徳川綱吉だね。

ってか、ドッグマン、この能力あったら「ディズニーの調教師」とか、そういう仕事いくらでもあっただろうに。ニュージャージーは、いったいどうなってるんだ。障害者枠雇用とかないの?

俺だったら

「車椅子の歌うお兄さんが世話してくれるペットホテル!」

とか起業するのに。

特に痛そうだったのが、犬に股間をガブリと噛まれた悪そうなギャング。噛まれたまま電話してたけど、頭の中は

「この犬の前世は、『浜辺美波』か『永野芽郁』だ……」

と妄想してたに違いない。

個人的に面白く感じたのは、このドッグマン、万が一に備えて自宅を要塞化してるんだけど、その仕掛けてある罠が、人間の足に向けたギミックばっかりなんだよね。こういうところ、良く考えてあるなー、と感心した。

ドッグマンを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズは、演劇青年からドラッグクイーン、ダークヒーロー、ワンオペでの犬たちの世話まで、複雑な役を演じきってて見事。

特に、昔、憧れてた女優を訪ねてフラれるシーンは、俺も好きなアイドルに熱愛発覚というニュースに100万回くらい経験があるので、共感的羞恥しかなかったぜ。

関係ないけど、まさか途中で仕事を探すシーン、「ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ」だから、コインランドリーに仕事を探しに行く、っていう高度なギャグじゃないよね!? 詳しい人いたら教えてください。

惜しむらくは、ドッグマンが、「足が不自由」という展開の割に、まめにちょこちょこ立ってること。

「クララが立った!」のクララですら、アニメ50話くらいまで立たないで我慢してるのに……。

「ホエール」のブレンダン・フレイザーに至っては立って歩くだけでアカデミー主演男優賞取ってるんだから(※間違ってます)、もうちょっと、立ち惜しみしても罰は当たらなかったと思う。

しかし、ドッグマンが犬の使い手だからこの話成り立ってるけど、もし幼少期に入れられた小屋が犬じゃなくて

「猫」

だったら、たぶん、みんな猫に癒やされて、こんな展開にはならなかったよね。

もし猫だったら、ドッグマンも、「もちまる日記」みたいなの作ってユーチューバーとして成功してたんじゃないか、と思うと、やはりペット選びは大事。

そんな別の世界線の話も面白そうなので、次は主人公を女性にして、猫を愛でる映画作ってほしい。タイトルは「キャットウーマン」でお願いします。

それにしても、最近、犬の出てくる作品、多い。同じフランス映画の「落下の解剖学」とか、犬映画で有名な「ジョン・ウィック」の最新作もフランス舞台だったし。なんかフランスでは、犬を映画に出すと補助金か何かもらえるんだろうか。

返す返すも損してるなぁ、と感じるのは、この作品は犬が数十匹出てきて、一匹一匹が目立たないこと。どうしても、「落下の解剖学」のスヌープくんに比べると見劣りする。みんな頑張ってるのに、一人……いや一匹で頑張ってるスヌープくんのほうが、どうしても目立ってしまう。

そりゃ仕方ないよね。スヌープくんの演技は、まさに

「ワンオペ」

だったからね。

↓ 犬たち     ↓ むらむら

∪^ェ^∪)⊃ ワン
(U・ω・) ⊃ ☆ ))Д´)イテエー
(∪^ω^) ⊃ ワンワン

(おしまい)
むらむら

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