くろねこヤマ子

欲望の翼のくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
3.8
1960年代の香港。
4人の男女が織りなす群像劇。
ひとときの交わりを
情感たっぷりに描く。

蒸れた香港。漂う色気。
気怠く退廃的な台詞。
切ないラテンの音楽。
動的で量感あふれる映像。

全てが上手く重なり、
擦れた色彩はロマンティックさを増す。

時系列に沿わないストーリー。
夢のような感覚を帯びる。
モノローグは醒めた夢を
語っているだけなんじゃないかと錯覚する。

荒々しいカメラワーク、奇妙な構図、
時間や視覚のわん曲がそれらを支えていたのだと
今なら分かる。
(再見って物語に溺れないからイイね)

大きい時計を敢えて低めに飾るのは
この映画を観てから20年、ずっと続けてる。

王家衛監督。
イイ映画を撮っていたなぁと思う。