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イルマーレのkotchanのレビュー・感想・評価

イルマーレ(2001年製作の映画)
4.4
(*´ー`*)イイハナシダナァ

"時空を超えた愛"
なーんて言われると壮大なラブストーリーを勝手にイメージしてしまってちょっと敬遠したくなるんですけど、ファンタジー感はほとんど無い。強いて挙げるなら、オープニングの霧に包まれたイルマーレくらいかな。グレーを基調とした映像と相まって、幻想的かつ神秘的な雰囲気を醸し出してます。

海辺の家"イルマーレ"(イタリア語で「海」の意)の郵便受けを介し、1999年の現代に生きるウンジュ(チョ・ジヒョン)と1997年の過去に生きるソンヒョン(イ・ジョンジュ)との不思議な交流を描く。いわゆる文通ですね。
このファンタジックな設定を露骨にアピールせず、ウンジュとソンヒョンの関係が自然と親密になっていく流れは王道とも言えるけれど、微笑ましく心温まるエピソードを紡いでいく。
後半、この2人に突如として暗雲が立ち込め、不幸な結末しか予感し得ない展開でハラハラ感を煽り、素晴らしいラストにつなげる物語の運び方は切ないけれど好感を持てる。同一のタイムラインで考えればタイムパラドックスが生じ破綻してしまうストーリーではあるけれど、別々のタイムラインとして捉えればラストシーンは納得できるし希望を抱かせてくれる。

海の近くで生まれ育った僕にとっては、海を眺めながら生活できるイルマーレは、回帰本能のせいなのか憧れでもあり羨ましいんですよねぇ(*^^*)
「台風来たらヤバくない?」とか「酔っぱらって帰ったら果たして玄関まで辿り着けるんだろうか?」とか「真冬にもし凍結したら玄関アプローチの一本道は超デンジャラスロードじゃんっ‼︎」とか「下水処理はどうなってんの⁉︎」とか、せっかくの作品性に水を差す余計な心配ばかりしてしまったけど、イルマーレみたいな家は少し淋しい感じもするけど凄く好みで素敵に思えましたね( ´∀`)

イ・ヒョンスン監督がとことん拘った映像がとても綺麗。色彩豊かな自然をバックにしたイルマーレ、済州島の青い海と白い砂浜のコントラスト、どのロングショットも美しくて好きなカットです。
心情描写が物足りず主演の2人に感情移入しにくいのは否めないけれど、ソンヒョンには共感できるところも多く、ウンジュの自己チューな頼み事も無理ないなぁーと思えたので意外と入りやすかったかな。
「コーラ」と名付けられた愛くるしいモップ犬は、ネーミングセンスは別として助演賞レベルで素晴らしかった!汚ったないモップが歩いてると思ったくらいのモップ感も良かったし、むやみに吠えないし呼べばヒョコヒョコ来るしちょこんと側に居るのがたまんなく可愛いぃんすよねー(*´∇`*)

ラストはもちろん泣いてしまったけどそれくらい「素敵やんっ!」と思えたし、ソンヒョンの優しさに満ちた表情が忘れられないくらい良かったッス♪( ´▽`)

でもでも、
実際さぁー、給料袋とメモだけでどれだけ信じてもらえるもんなのかね。爽やかな好青年とは言え初対面だし、相当困難だと思うんだけどねぇー。って、せっかくのステキな余韻を台無しにするどーでもいい余計な心配をまたまたしちゃったんです 笑。
ホント野暮だね〜(^_^;)

時間あったらリメイク版も観てみようかな^_^
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