密林亭半魚人

オペラ座の怪人の密林亭半魚人のレビュー・感想・評価

オペラ座の怪人(1962年製作の映画)
3.8
 『ピンクパンサー3』のドレフュス(ハーバート・ロム)の元ネタがコレです。

 怪奇映画の殿堂、英国ハマー・プロによる作品。もともと怪人役にはケーリー・グラントが予定されており、そのため脚本もそのイメージを損なわないように随所に改変がなされています。グラント自身は出演に乗り気だったものの、エージェントの意向でそれは叶わず、ハーバート・ロムにお株が回ることに。
 怪人の正体は売れない音楽家。彼は音楽業界で権勢を振るう悪漢ダーシー卿に自身の作品を奪われ、顔を焼かれた被害者であり、怪人を追う人々は後々その事情を汲んでダーシー卿の悪事を暴くと同時に怪人作のオペラ上演を成功に導くというトリッキーな展開。

 怪人は顔に火傷を負った際に片目を失っているため、界隈では「一つ目の怪人」という風説が流布されます。

 劇中劇のオペラ『ジャンヌ・ダルク』はこの作品用に作られたオリジナルだそうな。

 1925年版以来のハリウッド製『オペラの怪人』に比べるとさすがに見劣りしますが、ハマーの作品群同社比からすると絢爛豪華な大作と言えましょう。咀嚼すればするほど味わい深い傑作です。

 日本未公開作品、テレビ放映のみ。放映時のタイトルは『オペラの怪人』でした。