シネマJACKすぎうら

SHAME シェイムのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

SHAME シェイム(2011年製作の映画)
3.8
ニューヨークが舞台。摩天楼どぅーん!ってシーンはない。
スタイリッシュだけど、どこか冷んやりとした街としての情景が映る。

マイケル・ファズベンダー演じる主人公ブランドンは、セックス依存症のエリートビジネスマン。彼の家に、突然メンヘラの妹シシィが転がり込むことで始まる、”苦悩”の物語。

ポイントのひとつは、主人公がイケメンのモテ男ってとこ。コールガール呼んだりする一方で、バーで知り合った美女に誘われ、そのまま。。ってこともありなわけで。やはりキモヲタのモテナイ君ではコメディかホラーになってしまう(笑。
ところが、特定の相手と継続的な関係を築くことができない。最長4ヶ月って!それ一瞬やん。
そういえば、序盤と終盤に地下鉄でブランドンに色目を使う女性が現れる。あのシーンが意味するものは何だったのだろうか??

もうひとつのポイントは、この兄妹の関係性。劇中はっきりとは説明されないのだが、過去に共通の心の傷を負っているかのような雰囲気(クラブ歌手の妹が”ニューヨーク・ニューヨーク”を歌うシーンは、そのあたりを象徴するようで超印象的)。観ていると、この二人(特に兄)のお互いに対する”ある感情”こそが、苦悩の淵に自らを追いやる”依存症”の元凶となっていることが解ってくる。

自分の心を救済することが、一体どういうことなのか。解っているだけに、どうしようもない閉塞感に捉われ、苦しみ悶えるしかない主人公の姿が哀しい。