HicK

コクリコ坂からのHicKのレビュー・感想・評価

コクリコ坂から(2011年製作の映画)
3.5
《中盤まで結構良かった》

【最強のつかみ】
「耳をすませば」以上の胸キュン映画になっていた可能性を沢山秘めた作品だった。「ノスタルジー+青春+恋愛」という最強の要素。坂本九の歌もとてもいい演出。カルチェラタン再生と並行して築き上げていく海と俊の関係性。どんどん見入っていった。

【物足りない終盤】
小野寺に真実を告げられても驚かない俊。なぜ?。個人的には海も事実を知ったあと、真っ先に俊に伝えに行った方が自然だった思う。小野寺が発するセリフも本作をまとめるにはちょっと乏しい。観客がすでに知っている真実をノーリアクションのなか2人が受け止めるクライマックスは、正直"クライマックス"として物足りなかった。

自分が引き寄せられたのは、カルチェラタン存続でも無ければ真実の背景でも無く、2人の関係。残念な事にカルチェラタンも2人の背景も結末があるのに、2人の関係については何も見せてはくれない。期待していた要素だっただけに残念。

【演出】
登場人物の表情が乏しい。落ち着いたトーンの物語である事は分かるが、驚いた時や悲しい時などの表情が汲み取りづらい。感情移入が必要な時にもっと豊かな表情で惹きつけてくれれば、手引きになったかもしれない。

【総括】
(自分の勝手な期待によって)物足りなさを感じた作品。他の人はどうか分からないけど、自分は2人の発展する関係性が今作1番の魅力に感じ、ドキドキしながら追っていった。中盤までは心が温かくなったり切なくなったり。そのような種を蒔きながらも放置しているような…。未完の美では無く、明らかに足りていない。と思ってしまった。
HicK

HicK