このレビューはネタバレを含みます
「この街に女は要らねぇ!」
「だったら鶏小屋の雌鶏も追い出すんだな」
「まるで一生分の苦労と恐怖が一気にやってきたみたい。もう限界だわ、耐えられない……でも、すごく幸せなの。私を少しは愛してた…?」
原題の意味: 黙示録の4人
強烈なタイトルに何故か惹かれて鑑賞。
まさかのルチオ・フルチ!!
え〜、フルチってあのサンゲリアの人でしょ〜?グログロの…
と思ったけど、こんな感じのマカロニ・ウェスタンも撮ってたのね。
無法者に牛耳られた西部の町ソルトフラット。ある夜、市民たちが彼らの支配から逃れるために無法者を虐殺。牢にいたならず者4人、お前ら小物には興味ないとばかりに、軽装で釈放される。
アテもない旅の途中、銃の名手が半ば強引に仲間になるものの、裏切りにあい…
というストーリー。
音楽や描写がすごく「昭和」な感じの人情話。フルチ監督作なので残虐描写祭りなのかと思いきや、アイタタタ…な場面はほんの少し。ちゃんと起承転結しっかりしてるし、登場人物の心象描写が細かいのでちゃんと感情移入もできるし、まさかの展開に涙がウルッと。
旅を繰り広げるならず者たち
ニヒルな詐欺師スタビー
勝ち気で身重の娼婦バニー
陽気な黒人の墓堀り人夫バット
水嫌いのアル中浮浪者クロム
各々好き勝手言う道中、なかなか噛み合わない。道中で出会った人には、スタビーとバニーは嫌々ながら夫婦のフリをしてやり過ごすが、2人は徐々に心を通じ合わせていく。
そこに加わった銃の名手チャコ。こいつがめちゃくちゃな極悪人。4人を麻薬で惑わせた挙句、スタビーの目の前でバニーを犯し、荷物と馬を奪って逃走。
1人だけ縛られなかったクロム、バニーのはだけた足元を見て、咄嗟にスカートを下ろして隠す。この気遣いがすごく自然だがクロムの元来の人の良さが出ててよかった。
チャコの去り際に足を撃たれたクロム、弾を取り出す即席手術、クロムの手を握るバニー。取り出すスタビー。担架を作るバット。
この時点で、4人の間に家族のような絆が芽生える。
スタビーとバニーの手を取り「2人必ず結婚するんだぞ、そうしてくれたら嬉しい」と言い残し、手当の甲斐なくクロムが死ぬ。
元々ちょっと夢見心地だったバットは精神を病み、クロムの肉を剥ぎ取って食べてしまう。
ショックを受けたスタビーは、バニーを連れて先へ進む。
バニーが産気づく。ギリギリの状態で辿り着いたのは、男しかいない村。
産婆のいない中、結婚経験のあるオッサンが1人で赤ん坊を取り上げる。
生まれる子が男か女か賭けてた粗暴な男たちも、赤ん坊の産声を聞いて歓喜に沸く。
だが、赤ん坊の命と引き換えに、バニーが突如体調を崩し亡くなる。バニーの手を取り、大粒の涙を流すスタビー……
バニーの遺体と生まれたばかりの赤ん坊。
頭を下げつつ赤ちゃんを祝福する男たち。
彼らがつけた名前は「ラッキー」
やいやい文句を言いながら赤ん坊を取り上げたオッサンが、洗礼を受けた赤ちゃんの姿に「良かった…」と涙するところで泣いてしまった。。
ラッキーを男の村に託し、スタビーは復讐を誓ったチャコを探す。そして、仲間たちの想いも込めた弾丸をぶち込む……
復讐が意外とあっさりしてたのはちょっとだけ肩透かしだったけど、馬に乗って去っていくスタビーの姿が切なく渋く、「それがウエスタンさ」というような矜持がある。
バニー役の女優さんはポロリもします。お胸が非常に綺麗で眼福でした。お顔も美麗。
憎き敵を1人に絞り、ヒロインも1人、恋愛は1つ、あとはとにかく男の友情や思いやりを描いてたのが好感持てた。