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ショーン・オブ・ザ・デッドのGreenTのレビュー・感想・評価

3.5
ショーンは29歳にもなってルームメイトと暮らしているMan Child (大人子供)。ガールフレンドのリズは、ショーンがいつまでも同じくMan Child のエドと親友で、TVゲームばっかしてデートと言えば場末のパブ、マンチェスターにしか連れて行ってくれないのを不満に思ってショーンを捨てる。

あ~なんか恋愛とか描くのかよめんどくせーな~早くゾンビ出て来いよ!とか思っていたのですが、この最初のショーンのバックグランドの描写が後で生きてきますよね。ショーンの退屈な一日を描写している裏で何気なくゾンビのニュースとか流れているのに、全く気に留めていない。

面白かったのは、リズにフラれた次の日の朝、ショーンはいつものように近くのコンビニに行くんだけど、その途中でゾンビがウロウロしているし、ガラスケースに血が付いていたり、どっかの家の庭で死んでいる人とかいるし、そこはかとなくあっちこっち街が破壊されているのに、ショーンはいつものようにコンビニに行って、買い物して帰ってくる(笑)。

そんでその後、自分ちの裏庭でゾンビを見つけるんだけど、レコードを投げてやっつけようとする(笑)。で、

Purple Rain - No
Stone Roses - No
Sign o' the Times - definitely not!
Batman Soundtrack - Throw it
Dire Straits - Throw it
Sade - Liz's

と、プリンスとストーン・ローゼズはダメだけど、ダイア―・ストレイツとバットマンのサウンドトラックは秒速で「投げろ!」って(笑)。シャーデーは「リズのだから」って言うけど、投げるなとは言わない(笑)

このセンスわかる!

あと面白かったのはやっぱし、立て籠っていたパブにものすごい数のゾンビが押し寄せてきて、なぜかゾンビは音がするところに来るらしく、ジュークボックスでかかっているクィーンの "Don't Stop Me Now" を止めようとするんだけど止まらなくて、

"Kill the Queen!!"

って叫ぶんだけど、これが「クィーン(音楽)を止めろ!」と「女王を殺せ!」とかかっていて可笑しかった。多分、「女王を殺せ!」って言うのって、日本人が「天皇を殺せ!」って言うようなもので、こういうシチュエーションだからサラっと言ってるけど本当はすごいご法度なんだろうなと思ったらめちゃ笑えた。

で、親友のエドがゾンビに襲われて、ショーンはめっちゃパニくっているのに、クィーンの曲が

"Havin' a good time, havin' a good time"
(楽しいな~、楽しいな~)

って歌っているところがもう爆笑!

で、ショーンが「なんでまだクィーンがかかってるんだよ~!!」って言うと曲が

"Don't stop me now!"
(私を止めないで♡)

って、完全にシンクロしている(爆)!!

このシーンは、曲の使用権を取る前からシンクロさせていたので、サイモン・ペグとエドガー・ライトは、ブライアン・メイに「お願いだから使わせてください」と懇願したそうです(笑)

この映画は珍しく、製作者が「笑わそう」としているところが本当に可笑しいという、稀にみる良く出来たコメディだと思いました。考えてみたらエドガー・ライトってさ、『ベイビー・ドライバー』監督・脚本した人だよね?あの映画はカッコいい曲使ってたけど一向にシーンに合わなかったなあ。やっぱこういう面白いのって、再現しようと思ってもできるもんじゃないんだろうね。本当に偶然の産物なんだろうなあ。

最後はTVゲームが、「二人目のプレーヤー入りました」ってアナウンスして、「ん?」って思ったら、「男はアポカリプスを体験しても、基本的に成長しない」というラストになっていてワロタ。
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