シズヲ

ゴーストタウンの番外地のシズヲのレビュー・感想・評価

ゴーストタウンの番外地(1968年製作の映画)
4.0
思わぬ佳作マカロニ。妙に軽快な雰囲気のオープニングや如何にもよくありそうな冒頭の銃撃戦を経てから、話の大半が廃れたゴーストタウンで繰り広げられる。物語も悪党集団、老婆、流れ者、未亡人といった少人数で回されるので相当こじんまりとした内容だ。だけど閉鎖的な環境や隠された大金といった要素をちゃんと活かしてサスペンスを展開しているから面白い。登場人物だと悪党集団の女アウトローがなかなかに印象的。口笛ひとつでアクションしてくれる馬もめちゃくちゃ頑張っている。

ゴーストタウンの退廃感がやっぱり良くて、埃や蜘蛛の巣だらけの酒場の雰囲気なんかは絶妙に不気味でグッと来る。じわじわと舞台に迫る流れ者たち、幽霊か何かのように姿を現す老婆など、不穏な空気の漂わせ方も面白い。そんな薄気味悪いムードの中、悪党達の疑心暗鬼が少しずつ積み重なっていく流れも秀逸。終盤の銃撃戦ではそうしたフラグが一気に炸裂するので哀れな程に清々しい。低予算なだけあって絵的な地味さもあるけど、『限られた舞台で繰り広げられるサスペンス西部劇』として軸はしっかりしているので思いの外面白い。
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