OASIS

ブリジット・バルドー/恋するレオタードのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ウイーンの音楽学校を舞台に、有名なテノール歌手の教師に憧れる二人の女子生徒を描いた映画。

名前がタイトルに入っているくらいなのでブリジット・バルドー目的に観たのだが、その友人役であるイザベル・ピアがこれまた負けず劣らず可憐で愛おしい。
お転婆で我儘なブリジット・バルドーと、しおらしい乙女のイザベル・ピアという対極な二人の魅力が味わえるお得感があった。

女子生徒からの人気が高いテノール歌手のエリックは、妻マリアと別居状態にあった。
エリックに想いを寄せる女子生徒のソフィーとエリスは、彼に気に入られようと猛特訓するが...。
妻の持ち歌を敢えて唄ったりするソフィーの挑発的な態度が「子供っぽいがとても官能的」とエリック同様こちらの心まで鷲掴みにする。
自宅で個人レッスンを受ける時の、これでもかと谷間を強調したV字のセーターから覗くエロスに惑わされない男はいないだろう。

一方で母を亡くしたエリスを慰め「私を独りにしないでくれ」と縋り付く。
二人の美女をあわよくばモノにしようと平気で偽りの愛を囁くエリックにはイライラとさせられるが、ソフィーとエリスがその経験を糧にして着実に成長を見せて行く物語とすると利用されているのはどちらなのかという風にニヤニヤと観る事も出来る。

「辛い思いをすればするほど歌声は進化するんだ。涙を沢山流せて良かったな!」と、どの口がそんな事を言うのかというエリックの憎たらしい台詞も、それを軽くあしらいスターの道への一歩を踏み出すソフィーの表情との対比で滑稽にしか映らなかった。

同時に上がった筈の舞台で、独り取り残されるエリックの姿に同情を抱きつつも、性格も見た目も違う美女二人に振り回される姿をただただ羨ましいと思った。
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