チッコーネ

危険な戯れのチッコーネのレビュー・感想・評価

危険な戯れ(1975年製作の映画)
3.0
この監督の作品をしばらく観ていなかったので、忘れていたのだが「あ~そういえば、こういう男だった」と思い出した。

絵はきれいに撮る。写真で言えば、背景や美粧に凝るタイプで、本作の舞台美術もなかなか美しい。
しかし表現の本質は「セックスをスノビッシュに描く」ことだけ。それ以上でもそれ以下でもない。しかも本作の製作時が全盛期。彼の追求するセクシュアル・ファンタジーは、いま見ると恐ろしく退屈なのだ。
徹底的な男尊女卑が根底にあり、女性をオブジェのように描く半面、コンプレックスの表れなのか、男性を美しく撮ることができない。現代の流れから完全に外れてしまった感性であるが故、今後再評価される可能性は、ほとんどないだろう。

本作は脚本が非常に出鱈目で、ラスト10分の60年代風コメディ演出で無理矢理体裁を整えている。しかし監督にとって筋などは、どうでも良いものだったのだと思う。

『ニュー・シネマ・パラダイス』で万人の涙を搾り取ったフィリップ・ノワレが、娘に劣情を抱くエロオヤジに扮しているのが、笑える。
主題歌は王道のボサアレンジだったが、Easy Tempo系のシリーズでは見かけなかったような…。ディグってみようかしら。