H.P.ラヴクラフト『名状しがたいもの』の映画化...なのだが、ラヴクラフト作品特有のヌメッとした薄気味悪さはなく、セックスした者から順に殺されていく定番のティーン向けスラッシャー風モンスター映画になっている。(ヒロインのおっぱい有り)
映画自体は、曰く付きのお化け屋敷に新入生歓迎会と称して肝試しに行ったら、本物の化け物がいて皆殺しになりましたという可も不可もないものだが、原作でもお馴染みのラヴクラフトの分身ランドルフ・カーターとハワードのキャスティングは素晴らしい。
特にカーターを演じたマーク・キンゼイ・スティーブンソンのどこか浮世離れしたインテリ風のルックスとキャラクターは出色。
肝心のモンスターがスーツアクターの熱演が空回りするパントマイム風の動きと、懐中電灯で殴られただけで腕が折れるハイパー見掛け倒し仕様でガッカリさせられるが、主役2人のキャラクターとテンポの良い演出で意外と退屈せずに鑑賞できる拾い物となっている。
続編の『ダークビヨンド』では、本作ラストで普通に徒歩で帰宅していたはずのハワードが何故か重症で入院し、代わりにカーターが主役に昇格する謎な導入となっているが、カーターのキャラクターの秀逸さから考えると主役交代は賢明な判断と言えよう。